September, 3, 2020, New York--ロチェスター大学の研究チームは、光が集積回路を伝搬する際に光を制御する新しい方法を実証し、通信、コンピューティング、フォトニクス研究における研究の道を開いた。
コンピューティングや信号処理に電気の代わりに光を使うフォトニック集積回路(PICs)は、電気を使う従来の回路に比べて高速性、広帯域性、エネルギー効率で有望である。
しかし、電気回路が君臨し続けるコンピューティングや他のアプリケーションで競合するには、まだ十分に小さくはない。
ロチェスター大学の電気工学エンジニアは、その問題に対処する上で大きく飛躍したと考えている。フォトニクス研究者によって広く採用されている材料を使い、ロチェスターのチームは、現状で最小の電気光学変調器を作製した。変調器は、フォトニクスベースのチップの重要コンポーネントであり、その回路を通過する光を制御する。
Nature Communicationsで、電気・コンピュータ工学教授、Qiang Linの研究室は、二酸化シリコン層に張り付けた薄膜LNの利用を説明している。これは、現状で最小のLN変調器であり、高速動作し、エネルギー効率も優れている。
同研究室の院生、論文の筆頭著者、Mingxiao Liによると、これは大規模LN集積回路を実現する重要な基盤である。また、データ通信、マイクロ波フォトニクス、量子フォトニクスにおける幅広いアプリケーションで極めて重要である。
リチウムナイオベート(LN)は、傑出した電気光学および非線形特性であるので、「フォトニクスR&Dに役に立つ材料系になっている」とLinは話している。「バルク結晶あるいは薄膜プラットフォームのいずれかで造られた現在のLNフォトニックデバイスは、サイズが大きく、縮小が困難。これは、変調効率、エネルギー消費、回路集積度を制約している。大きな課題は、高品質のナノフォトニック構造を高精度に造ることにある」。
変調器プロジェクトは、フォトニックチップのもう一つの重要コンポーネント、フォトニックナノキャビティの作製に、同研究所がLNを利用したことに立脚している。わずか1µmサイズで、そのナノキャビティは、室温でわずか2フォトン、3フォトンを利用して波長をチューニングできる。「この方法で、2フォトン、3フォトンが室温操作されたのは初めてのことである」(Lin)。この研究成果は、Opticaに発表された。
変調器は、ナノキャビティと連携して使い、ナノスケールでフォトニックチップを作ることができる。
(詳細は、https://www.rochester.edu)