September, 1, 2020, 大阪--大阪大学大学院医学系研究科核医学講座のチームは、早稲田大学理工学術院の片岡淳教授らの研究チーム、大阪大学放射線科学基盤機構と共同で、数十キロ電子ボルトから数メガ電子ボルトのX線ガンマ線を同時に可視化できる、コンパクトなカメラを開発した。
60keV/662keVの放射線源の同時撮影、さらには211At(アスタチン)を投与したマウスのイメージングを試みた。これまで困難であったX線ガンマ線の同時イメージングが1台で可能となり、医療診断から宇宙科学まで、幅広い応用が期待される。
光の仲間であるX線やガンマ線は透過力が極めて高く、レンズや反射鏡では集光できない。光子1つ1つを粒子として扱う「非集光型」イメージングが必須となり、様々な可視化装置が開発されている。たとえば医療診断では、放射性薬剤から出るガンマ線を可視化する装置としてSPECT(50-300キロ電子ボルト)、がんの早期発見に用いるPET(511キロ電子ボルト)が有名。さらに近年、より高いエネルギーのガンマ線を可視化できるコンプトンカメラが開発されている。しかし、個々の装置では守備範囲のエネルギーが異なり、一台の装置でイメージングできる薬剤や診断も限定される。
今回、研究チームは低エネルギーのX線から高エネルギーのガンマ線まで1台で同時にイメージング可能な新たな装置を考案し、その性能を実証した。これにより、医療においては新たな診断方法の開拓、宇宙科学においてはX線ガンマ線観測の新しい窓を切り拓くものと期待される。
研究成果は、Scientific Reportsに発表された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)