August, 25, 2020, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、増幅器の周波数を制限する要因となっていたトランジスタの寄生容量成分をインダクタ成分で中和する中和回路を500GHz帯で初めて増幅回路に適用し、500GHz帯での20dBの高利得増幅器ICの実現に成功した。
500GHz帯は、テラヘルツ波として知られる高い周波数帯のひとつであり、センシングなどへの適用が期待されている。マイクロ波やミリ波よりも高いこの周波数帯を利用するためには、高い利得を持つ増幅器ICの実現が期待されていた。
NTTは、独自の中和回路技術を適用した500GHz帯増幅器ICをInP -HEMTで実現し、20dBの電力増幅率(利得)を確認した。現在まで報告されている500GHz帯増幅器ICの2.5倍の利得であり、台風や集中豪雨などの気象予報精度の向上につながる技術として期待される。
技術のポイント
高速・高利得に優れたInP-HEMTにて増幅器ICを実現した。従来、増幅器の動作周波数は、トランジスタの性能(fMAX)の6割程度の周波数に留まっていた。NTTは、増幅器の周波数を制限する要因となっていたトランジスタの寄生容量成分をインダクタ成分で中和する中和回路を提案。この回路技術をテラヘルツ波に適用した増幅器ICを試作し、トランジスタの性能(fMAX)の8割を超える500GHz帯において利得20dBの増幅動作に成功した。
技術の詳細は、国際会議IEEE IMS2020(IEEE International Microwave Symposium)に新設のLate Newsで発表された。
(詳細は、https://www.ntt.co.jp)