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Science/Research 詳細

NIMSと筑波大学、半導体用高純度シリコンの収率の限界を突破

August, 13, 2020, つくば--物質・材料研究機構(NIMS)と筑波大学は、従来は25%が限界といわれていた半導体用高純度シリコンを生成するシーメンス法のSi収率を向上させることに成功した。
 反応性の高い水素ラジカルを大気圧で発生・輸送できる装置を開発し、シリコン製造ラインに導入して副反応物の発生を抑えることで、収率が15%以上向上することが期待される。今後、コンピュータや太陽電池向けに需要が高まる高純度シリコン生成プロセスの改善や低コスト化が期待される。

研究チームは、水素ラジカルを用いればSiCl4を生成させることなくSiを生成できること、また、化学的に安定なSiCl4からもSiを生成できることを熱力学的に予測してきた。しかし、反応性の高い水素ラジカルを大気圧で発生させ、その効果を検証する研究は存在しない。今回、タングステン熱フィラメントによって大気圧以上で水素ラジカルを発生させて、圧力差を利用して水素ラジカルを別の反応炉に輸送する装置を開発することで、反応性が高いにも関わらず、水素ラジカルは長寿命で大気圧でも数10cmの距離を輸送できることを確認した。この装置を用いて水素ラジカルによるシーメンス法の副生成物であるSiCl4の還元反応 (Si生成) を行い、より低温で大気圧でもSiをより効率的 (現時点では15%) に生成することに成功した。

研究成果は、Science and Technology for Advanced Materialに発表された。
(詳細は、https://www.nims.go.jp字)