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東京工芸大学、光を使用して「液晶ゲル」を自在に曲げる技術

July, 30, 2020, 厚木市--東京工芸大学工学部(神奈川県厚木市)工学科総合工学系化学・材料コースの比江島俊浩教授は、液晶ゲルの製造方法および設計方法についての特許を取得した。これは、ひまわりが太陽の光を浴びて光の方向に曲がるように、光を使用して「液晶ゲル」を自在に曲げる技術。ロボットのコントロールや、医療分野では、血管内でカテーテルを動かす技術など、活用が期待される。

液晶ゲルとは、高分子の主軸がある特定の配向方向を認識し、その方向に配列した特殊な高分子ゲルの一種。そのため、光や電場、磁場といった外部からの刺激に対して特定の方向に光学的にも、力学的にも特殊な応答性を示すことが知られている。
 高分子ゲルは本来、液体の特性を保持しながらもその形態を固定化するだけでなく、光やpH、温度、溶媒組成などの外部環境の変化を感知して体積を不連続に変化させる機能を有している。
 これまでアクリル系樹脂を使ったゲルを人工筋肉やセンサ、太陽電池用の高分子ゲル電解質へ応用する研究が活発に続けられてきたが、非晶性高分子ゲルを湿式デバイスで活用するためには、ゲルそのものの力学的な「もろさ」の改善はもとより、非晶性高分子に本質的に内在する溶剤亀裂や応力亀裂といった欠点を克服しなければならなかった。

 ポリペプチドの高濃度溶液は自発的に一軸方向に配向した液晶相を形成するだけでなく、磁場中でゲル化したところ、ゲル内部にはポリペプチド鎖の絡まりあったフィブリルが磁場に平行に配向しており、その表面には弾力性のある強靭な角質層を形成していることを見出した。

【高速・高感度応答性を有するポリペプチド液晶ゲル・アクチュエータ】
 従来の非晶性高分子を用いた光応答性高分子アクチュエータは、高出力の紫外光を照射することで、駆動時間の短縮化を図ってきた。しかし、それではハイパワーの光源が常に必要であり、実用的とは言い難い。今回、光異性化反応を示すスピロピランを側鎖に導入したポリグルタメート(PSPLG)液晶ゲルは、わずか2mWの365nm光を照射するだけで、高速・高感度応答の光運動性を実現することに成功した。
 さらに架橋剤の化学的な性質を親水性から疎水性に変えると、このゲルの屈曲性は光源から遠ざかる向きと反対に近づく向きの双方向に光屈曲性を示すことを、世界に先駆けて初めて見出した。

 この技術を使って、医療用のカテーテル材料やマイクロロボットやマイクロモータ作成への活用が期待される。
(詳細は、https://www.t-kougei.ac.jp/activity/pr/uploads/2020/07/hiejima_20200727.pdf)