July, 28, 2020, Lausanne--集積フォトニクスとMEMS技術を組み合わせ、EPFLとパデュー大学の研究チームは、集積光周波数コムのバルク音響波でモノリシック圧電制御を実証。その技術は、厳しい用途向けの集積超高速音響-光変調に道を開く。
圧電材料は、電圧を機械的変位に、またその逆に変換する。それらは、携帯電話など、現代のワイヤレス通信ネットワークで至る所にある。今日、フィルタ、トランスデューサ、オシレータを含む圧電デバイスは、ワイヤレス通信、全地球測位、ナビゲーション、宇宙応用に数十億のデバイスが使われている。
Naureの論文では、EPFLのTobias J. Kippenberg教授とパデュー大学のSunil A. Bhave教授との協力で、圧電窒化アルミニウム(AlN)技術と超低損失窒化シリコン(Si3N4)集積フォトニクスを組み合わせることで、新しいオンチップ音響光変調スキームを実証している。
そのハイブリッド回路により、超低消費電力の光導波路で広帯域作動が可能になる、これはこれまでは難しかった偉業である。回路自体は、CMOS適合ファウンドリプロセスで製造された。これは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、メモリチップ、その他のデジタル論理回路の作製に広く使用されている。
光と音
その回路の作製に研究チームはSi3N4を使った。これは、チップスケール、マイクロプロセッサベース光周波数コム(マイクロコム)の主要材料として登場してきた。マイクロコムは、広範な精密要求が厳しいアプリケーションで使用されている。これに含まれるのは、コヒレント通信、天文分光計校正、超高速測距、低雑音マイクロ波合成、光原子時計、ごく最近では並列コヒレントLiDAR。
研究チームは、超低損失Si3N4フォトニック回路上に圧電AlNアクチュエータを作製し、それに電圧信号を印加した。信号は、バルク音響波を電気機械的に誘起した。これがSi3N4回路に作製されたマイクロコムを変調できる。要するに、音が光を振動させる。
このスキームの重要な特徴は、それがSi3N4回路の超低損失を維持していることである。「この成果は、マイクロコム技術の新たなマイルストーンであり、集積フォトニクス、マイクロ電気光学的システムエンジニアリングと非線形オブティクスをつなぐものである」とJunqiu Liuは説明している。同氏は、EPFLのCenter of MicroNanoTechnology (CMi)でSi3N4フォトニックチップ製造を主導している。「圧電およびバルク音響波光相互作用を用いることで、それは前例のないスピードと超低電力消費のオンチップ光変調を可能にする」。
2つの新しいアプリケーション
その新しいハイブリッドシステムを使い、研究チームは2つの独立したアプリケーションを実証した。まず、マイクロコムベースの大規模並列コヒレントLiDARの最適化。これは最近Natureに発表された先の研究成果に基づいている。このアプローチは、CMOSマイクロ電子回路で駆動するルートをチップベースLiDARエンジンに提供する。
2番目に、Si3N4の空間・時間変調による磁石不要光アイソレータ。これは、Nature Communicastionsに発表された。「バルク音響波のタイトな垂直閉じ込めがクロストークを防ぎ、アクチュエータの近接設置を可能にする。これは、p-i-n Si変調器実現の課題である」とHao Tianは話している。同氏は、パデューのBirck Nanotechnology Center Scifresクリーンルームで圧電アクチュエータを製造した。
新技術は、電力が重要なシステム、例えば宇宙、データセンタ、ポータブル原子時計、あるいは極低温などの極限環境におけるマイクロコムアプリケーションに推進力を提供する。「まだ未知のアプリケーションが多くのコミュニティで続いて出てくる。ハイブリッドシステムが、個々の構成要素で達成されたものを超える優位性と機能を獲得できることは何度も見られた」。
(詳細は、https://actu.epfl.ch)