May, 28, 2014, Victoria--CIC nanoGUNEの研究者は、CFO、Grapheneaと協力して、1原子厚の材料グラフェンで光をトラップして制御する光アンテナをベースにしたプラットフォーム技術を紹介している。
実験では、著しく収縮したグラフェンガイドの光を従来の光学原理にしたがって集中し、曲げられることを示す。
光回路やデバイスは、信号処理やコンピューティングを遙かに高速に行うことができる。「しかし、光は非常に速いが、あまりにも場所をとりすぎる」とnanoGUNE Ikerbasque教授、Rainer Hillenbrand氏は説明する。実際、光の伝搬には少なくとも波長の半分のスペースが必要になる。これは、最先端のエレクトロニクスの構成ブロックと比べると著しく大きい。そのため、光を収縮してナノスケール材料中を伝搬させる研究が始まった。
グラフェンは、単層カーボン原子で、たぐいまれな特徴を持ち、1つのソリューションとして提案されていた。グラフェン層で捉える光の波長は、自由空間を伝搬する光の10~100桁短くなる。その結果、グラフェン層を伝搬する光、つまりグラフェンプラズモンに必要な空間は、極めて少ない。
しかし、光を効率的にグラフェンプラズモンに変換してコンパクトなデバイスで操作することが主要課題となっている。nanoGUNE、ICFO、Graphenea(EU Graphene Flagshipのメンバー)の研究チームは、電波技術のアンテナコンセプトが有望なソリューションであることを実証した。同チームは、グラフェン上のナノスケール金属ロッド(光に対してアンテナとして動作する)が赤外光を捉え、それをグラフェンプラズモンに変換できることを示した。これは、無線アンテナが無線を金属ケーブル内の電磁波に変換するのと類比的である。
実験でアンテナデバイスから得られたメリットについて、「グラフェンプラズモンの励起は純粋に光学である。デバイスはコンパクトで、グラフェンプラズモンの位相と波面はそのアンテナを幾何学的に調整することで直接コントロールすることができる。この点は、光を集中し導波することに基づいたアプリケーションの開発では重要である」と実験を行ったPablo Alonso-González氏は説明している。
研究チームは理論研究も行った。nanoGUNE、Ikerbasque Research Fellow、Alexey Nikitinは、計算を行い、「理論に従うと、われわれのデバイスは非常に効率的であり、すべての今後の技術応用は基本的に、グラフェンの製造限界と品質に依存することになる」と説明している。
Nikitin氏の計算をベースにしてnanoGUNEのNanodevicesグループはGrapheneaが提供するグラフェンに金のナノアンテナを作製した。同グループは次に、Neaspec近視野顕微鏡を使って、赤外グラフェンプラズモンがどのように放出されて、グラフェン層に沿って伝搬するかを撮像した。画像で、グラフェン上の波がアンテナから出て、石を投げたときの水面波のように伝搬することを確認した。
1原子厚のカーボン層に沿って光波2D伝搬が従来の光学の法則に従うかどうかをテストするために、研究チームは波を集中させ、屈折させようとした。集中させる実験では、アンテナを曲げた。画像から、グラフェンプラズモンがアンテナから離れることが示された。これは、レンズ、凹面鏡で集中される光ビームと同じである。
また、グラフェンプラズモンがプリズム形状のグラフェン二重層を透過するときに屈折も観察した。これはガラスプリズムを透過する光ビームの屈折と類比的である。「大きな違いは、グラフェンプリズムはわずか2原子厚であることだ。これは過去最薄型の屈折光学プリズムである」とRainer Hillenbrand氏は説明している。グラフェンプラズモンが曲がる理由は、2原子厚プリズムの伝導性が周囲の1原子厚の層よりも大きいためである。将来、グラフェンのそのような伝導性変更は、単純な電子的手段でも実現できるようになり、数ある操作アプリケーションの中でも極めて効率的な屈折の電気制御になる。
実験では、従来のオプティクスの基本的で最も重要な原理がグラフェンプラズモンにも適用できることが示された。言い換えると、収縮した光は1原子厚の炭素原子層に沿って伝搬すると言うことである。この結果をベースにした今後の開発は、極微小の光回路やデバイスに向かうことになり、これらはとりわけセンシングやコンピューティングで有用になると考えられる。
(詳細は、Scienceに掲載されている)