July, 9, 2020, 京都--理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター神経回路・行動生理学研究チームの佐藤正晃客員研究員(脳科学総合研究センター記憶メカニズム研究チーム客員研究員(研究当時))、京都大学医学系研究科の水田恒太郎助教と林康紀教授らの国際共同研究グループは、海馬と呼ばれる脳領域の活動を細胞レベルでリアルタイムに観察する脳活動画像化実験を行い、空間学習に伴う脳内地図の形成メカニズムと自閉スペクトラム症の関連遺伝子Shank2の機能を解明した。
研究成果は、ナビゲーションや記憶に関わる脳機能と、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の病態の解明に貢献すると期待できる。
国際共同研究グループは、バーチャルリアリティ[VR]環境で空間学習を行うマウスの海馬の活動を、二光子レーザ顕微鏡と呼ばれる生体深部を観察できる高解像度の顕微鏡で画像化した。その結果、海馬では学習が進むに従って「場所細胞の数が増えること、およびこれらの場所細胞が形成する脳内地図において、特徴のある場所(報酬とランドマーク)で応答する細胞は他の場所で応答する細胞よりも安定化していることを発見した。また、自閉スペクトラム症モデルのShank2遺伝子欠損マウスでは、脳内地図におけるランドマーク地点の細胞の数が増加しないことを見いだした。
研究成果は、Cell Reportsオンライン版に掲載さた。
(詳細は、https://www.riken.jp)