July, 7, 2020, Sydney--電子を使わないマイクロチップは、加熱しないデータ処理システムとなり、エネルギーコストを下げ、グリーンハウスガス放出を抑制する。この基本的研究は、そうした目標を達成するシステムの発明に貢献するものである。
オーストラリアとヨーロッパの研究チームは、世界のテレコムの原動力となっているデータチップから「熱い」電子を取り除く重要な一歩を踏み出した。
シドニー大学ナノ研究所とマックスプランク光科学研究所の研究者は、電気よりも、光や音を使うチップは高速インターネット、レーダ、センサ技術など、将来技術の開発に重要になると主張している。これには、発熱が少なく、高速情報伝送が必要になる。
「高帯域情報システムの需要が増えるに従い、われわれは、加熱せず、低エネルギーコストで、グリーンハウスガス排出を減らすデバイスを確実に発明できるように、その曲面の先へ出たいと考えている」とDr Moritz Merkleinは話している。同氏は、Physics and Sydney Nano.のEggleton Research Groupの一人。
アイデアは、チップが光ファイバから受信する情報の蓄積と転送にフォノンとして知られる音波を利用することである。これによりチップは常に、発熱する電子なしで動作することになる。チームは世界で初めて、チップでこのプロセスの管理に成功した。
しかし、ファイバオプティクケーブルから音波の形でチップに転送される情報は、ナノ秒で減衰する。これは、何か有益なことができる長さではない。
「われわれがしたことは、チップの音波を強化するために慎重に時間を合わせた同期光パルスを使うことである」とDr Birgit Stillerは説明している。同氏は、ドイツ、マックスプランク研究所の光科学の独立した研究グループの一人。
「われわれは、これらフォノンをリフレッシングすることが可能であり、情報は、はるかに長い時間蓄積され処理されることを初めて示した」(Birgit Stiller)。
研究チームは、光パルスの時間を注意深く合わせて、チップ上に蓄積された情報の寿命を10nsから40nsまで、300%延ばした。
研究成果は、Opticaに発表された。
シドニー大学、フォトニクス・光科学研究所、Dr Merkleinは、「われわれはこの方法を利用して、情報がチップにとどまる時間を延ばす計画である」とコメントしている。
Dr Stillerによると、チップ上の音響波は情報を蓄積し転送する有望な方法である。
「これまで、そのような蓄積は、基本的に,音波の寿命に制約されていた。音響波をリフレッシュすることでわれわれは、この制約を克服できる」。
University of Southern Denmark、プロジェクト協力者、Cristian Wolff准教授は、「理論的には、このコンセプトは、マイクロ秒領域まで延ばすことでできる」と言う。
原理実証デモンストレーションは、光信号処理、精密フィルタリング、高精度センシングや通信に多くの可能性を開くものである。
(詳細は、https://www.sydney.edu.au)