July, 7, 2020, つくば--筑波大学数理物質系の丸山実那助教、岡田晋教授、筑波大学大学院理工情報生命学術院国際マテリアルズイノベーション学位プログラムの藤井康丸・博士後期課程1年らの研究グループは、五つの炭素原子が環状に結合した五員環を組み合わせることで、新しい3次元炭素結晶の可能性を理論的に予言した。また、量子力学に基づいた物性シミュレーションから、この物質がダイヤモンドより軽くて強靭であることを示した。
黒鉛やダイヤモンドなど炭素の結晶は、古くから基礎科学ならびに応用科学の対象となってきた。これらの結晶は炭素原子間の化学結合が極めて強く、高い力学的強靭性と安定性を兼ね備えた機能性材料として、多くの注目を集めている。
今回、研究グループは、炭素原子からなる五角形(五員環)の辺を共有させることにより、極めて対称性の高い3次元の炭素共有結合ネットワークが構築可能であることを幾何学的な考察から予言し、ペンタダイヤモンドと命名した。ペンタダイヤモンドは極めて強靭な炭素結晶で、ヤング率と剪断弾性係数は、ダイヤモンドのそれを遥かに凌駕する極めて強靭な炭素同素体であることを明らかにした。また、ペンタダイヤモンドは負のポアソン比を有し、外力に対して通常の物質とは反対の構造応答特性を示す可能性があることを明らかにした。
この結果は、ペンタダイヤモンドが高硬度構造材料や圧電材料など極めて広範な領域において、機能性材料としての応用を秘めた物質であることを示唆している。
(詳細は、http://www.tsukuba.ac.jp)