July, 3, 2020, Santa Barbara--UC Santa Barbaraの研究チームは、新しい方法でLED設計の限界を継続して広げようとしている。その方法は、より効率的で多機能なLEDディスプレイや照明技術に道を開くものである。
Nature Photonicsに発表された論文で、UCSB電気・コンピュータ工学教授、Jonathan Schullerと研究チームは、この新しいアプローチを説明している。それによると、VRヘッドセットから自動車照明までの広範なLEDデバイスが、より高度に小奇麗になる。
「われわれが示したものは、新しい種類のフォトニックアーキテクチャである。これは、より多くのフォトンを引き出すだけでなく、それらを望むところに向けることができる」と同教授は説明している。この性能改善は、LEDsの放出光操作に使われることよくある外部パッケージングコンポーネントなしで達成される。
LEDsの光は、半導体材料で生成される。負に帯電した電子が半導体の結晶格子に沿って移動しプラスに帯電したホールと結合して低いエネルギー状態に移行するが、途中でフォトンを放出する。研究チームがその全体を計測し、大量のフォトンが生成されることなく、LEDから出られないことが分かった。
「パタニング前の放出フォトンの角度分布に注目すると、ある方向でピークに達する傾向があることが分かった。これは、本来ならLED構造内にトラップされるものである。したがって、従来のメタサーフェスコンセプトを使って、本来ならトラップされる光の周辺の設計ができることが分かった」とSchullerは説明している。
チームが決定した設計は、サファイア基板上に1.45-µm長GaNナノロッドアレイで構成されている。InGaNの量子井戸がナノロッドに埋めこまれていて、電子とホールを閉じ込め、光を放出する。その半導体構造からより多くの光が出ることに加えて、その設計は光を偏光する。論文の主筆Prasad Iyerによると、それは多くのアプリケーションにとって重要である。
ナノスケールのアンテナ
そのプロジェクトのアイデアは、数年前、Iyerが考え付いたものである。同氏の研究テーマはメタサーフェスだった。
「メタサーフェスは、基本的にアンテナのサブ波長アレイである」(Iyer)。同氏は、以前、メタサーフェスによるレーザビームの操作法を研究していた。同氏の理解では、一般的なメタサーフェスは、入力レーザビームの強い指向性に依存して強い指向性出力ビームを生成する。
それに対してLEDsは、自発光であり、レーザの誘導コヒレント光とは反対である。
「自発光は、フォトンに許される可能なあらゆる方向を試す」とSchullerは説明している。したがって光は、あらゆる可能な方向にフォトンのスプレイとして現れる。問題は、半導体表面の慎重なナノスケール設計と製造によって、所望の方向に生成フォトンを集められるか、と言うことである。
「これまで、LEDsのパタニングを実行した人はいた」(Iyer)。しかしそのような取り組みは、必ず光を多方向にスプリットし、効率が低くなる。「LEDからの光放出を単一方向に制御する方法を誰も設計しなかった」。
Iyerによると、それは難題であり、専門家の協力なかったらソリューションを見つけられていなかった。GaNは、扱いが並外れて難しく、高品質結晶の作製には特殊な工程が必要になる。そのように正確な設計でその材料を作製する専門家は、世界にわずか数か所しか存在しない。
運よく、UC Santa Barbaraには、Solid State Lighting and Energy Electronics Center (SSLEEC)がある。これは、そうした場所の一つである。SSLEECの専門家とキャンパスの世界第一級ナノファブリケーションファシリティの助けを借りて、研究チームは、半導体面を設計、パタンニングし、自発光向けにメタサーフェスコンセプトを適用した。
(詳細は、https://www.news.ucsb.edu)