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ローコスト、高歩留まりプログラマブルPICsに独自のポリマベース製法

July, 3, 2020, Eindhoven--Eindhoven University of Technologyの研究者によると、フォトニック集積回路(PICs)の未来は明るい。量子コンピューティングやディープラーニング技術での利用が運命づけられているように見えるからである。PICsは、電気信号ではなく光信号を運ぶので、その屈折特性の正確な制御が重要である。フォトニックデバイスをプログラムする従来技術は、光や熱に触れることを利用している。しかし、これは、高消費電力になり、複雑な制御回路を必要とする。TU/eの2学部の研究チームは、新しい、非伝統的なポリマベースのアプローチを開発した。これはPICsのプログラミング時間を大幅に減らし、プログラミングの可能性を増大させる。これは、プログラマブルPICsの製造歩留まりを根本的に改善する。研究成果は、Advanced Optical Materialsに発表された。

プログラマブルPICsは、データを運ぶ光信号の経路を操作し、その屈折率が変えられる材料でできている。信号制御を最大化し、光損失を最小化するために、ロバストで信頼度が高く、素早いPICs製造方法が必要とされている。

これを考慮に入れて、電気工学部の研究チームは、プログラマブルPICsの新しい製法を開発した。これは、フォトニック材料をポリマでコーティングするもので、その光学特性は、様々なpHの酸性溶液を使ってほんの数分で広範囲にわたって調整できる。これは、プログラマブルPICsを作製するための新しい独自のアプローチである。それには、ポリマと酸性溶液の利用が必要である。フォトニック材料を光に触れさせ、次に熱を使って屈折特性を調整するようなものではない。

フォトニックデバイス用PEMクラッド
 新しいポリマコートフォトニックデバイスを製造する前に、研究チームはまず、反応性多価電解質マルチレイヤ(PEM)-多数のPEM層でできた材料、が可逆的に変えられることを確認した。PEMコートシリコンサンプルは、様々なpHの溶液にサンプルを交互に浸すことで、何回も酸性化と中性化にさらされた。低pH溶液(強酸性)は、高屈折率の薄いPEM層に、高pH溶液(弱酸性)は、低屈折率の厚いPEM層になった。屈折率の低下は、材料の穴の数(多孔性増加)によるものである。

研究者は、まず全面的に、次に部分的にフォトニックデバイスにPEMクラッドを作製した。繰り返し酸化プロセスを使うことで、クラッドの厚さを変えた(屈折率の結果)。この新しいプロセスは、プログラマブルフォトニックデバイス作製で、幅広い制御と柔軟性を提供するものである。重要な点は、デバイスは、そのアプローチを使って数分でプログラムできることである。さらに一層印象的であるのは、プログラムされた状態が不揮発性であり、15週間まで安定していることである。

Oded Razは、「これは、再構成可能フォトニクス作製の全く新しい方向性であり、再構成可能PICsのローコスト製造への道を開く」と話している。