June, 30, 2020, Washington--オークランド大学(University of Auckland)の研究者は、量子オブティクスから借用した検出技術を使って、以前に可能だったよりも遥かに低いパワーでOCTを実行した。これは、医療イメージングアプリケーションで使用されるOCTで利用できるイメージング品質を大幅に改善することになる。
OCTは、光を使って、非侵襲的な方法で高解像度3D画像を生成する。眼科で一般に用いられているが、OCTは身体の多くの他の部分の撮像にも使用可能である。皮膚および、耳、口、動脈、消化管の内部などである。
「臨床アプリケーションで、微光パワーのOCTを使えることは、重要である。安全基準が、利用される光強度を制限しているからである。場合によっては、これらのパワーレベルは、優れた画像品質達成に十分でないことがある」とニュージーランド、オークランド大学、Sylwia Kolenderskaは説明している。
Optics Lettersに発表された論文で研究チームは、どのようにして標準OCTディテクタと超伝導シングルフォトンディテクタ(SSPDs)を置き換えたかを説明している。SSPDは、個々のフォトンを区別する量子オブティクスで用いられる技術である。このセットアップにより、パワーレベルが現在OCT装置で用いられているものよりも100万倍低いレベルで、優れた画像品質を達成することができた。
「将来的に、シングルフォトンディテクタ技術がもっと小さく、安価に造れるようになると、光ベースのイメージングに基づいたポータブル診断装置が、家庭で楽に使える、安全な自己診断目的で製造されるようになる。」とKolenderskaは話している。
シングルフォトン取得
研究チームは、SSPDsを中核とする量子光に基づいたOCT法を開発する過程で、新しい検出スキームを考案した。チームは、感度強化のためにSSPDsも標準OCT配置に使えることに気づいた。
「SSPDsはシングルフォトンを検出できる。それらを使うOCT装置は、最新のOCT装置で現在利用されているものと比較すると、微光が必要なだけである。しかし、それは既存のOCTシステムに匹敵する高精細画像を生成する」(Kolenderska)。
SSPDsを標準OCTシステムに組み込むには、一般的な光セットアップにある程度の変更が必要だった。最新のOCT装置は、物体からの反射光の色、つまり波長を区別することで機能する。この波長の識別は、シングルピクセルディテクタを利用して行うことができる。光源は、一度に1波長を生成する、つまり、プリズム、これらの波長を検出するカメラのように光を異なる波長に分離する回折格子を利用する。
研究チームは、異なる色の分離に、グレーティングの代わりにファイバを利用した。各波長は異なるスピードでファイバに入ってくる。ファイバの出力端でチームは、SSPDを使って、異なる時間で到着する様々な色を捉えることができる。これにより、光スペクトルが捉えられ、OCT画像が再建される。
微光が高品質画像を生成
その新しい検出スキームを実証するためにチームは、スタックした3タイプのガラスと、生物学的サンプルを代表する一片の玉ねぎのOCT画像を捉えた。チームは、安全基準よりも少なくとも5桁低い光強度で両方のサンプルの高品質画像を捉えた。
「われわれの結果は、その新しい検出アプローチにより、身体の様々な部分の高品質OCTイメージングが可能であることを示している。特に、眼などの敏感な臓器では、光パワーに関して安全レベルを上回る心配はない。実際、SSPDは1%の安全レベルに達するずっと前に、修理不能なほど損傷を受ける」。
しかし、研究チームは、取得したOCT画像に、サンプルの構造に対応しない要素、アーチファクトを観察した。検出システムがフォトン間のすべての種類の相互作用を検出するので、これらが現れるが、実際の画像を再建するのに必要なものではない。チームは、イメージング速度に妥協することなく、これらのアーチファクトを阻止するベストな方法を見出そうと実験を続けている。イメージング速度は臨床アプリケーション向けを維持するには重要である。