June, 30, 2020, 東京--東京工科大学応用生物学部の杉山友康教授とコンピュータサイエンス学部の亀田弘之教授ら研究グループは、がん幹細胞と非がん幹細胞を識別する人工知能(AI)技術を開発した。これは、培養細胞またはがん組織の位相差顕微鏡画像に写るがん幹細胞の細胞形態をAIが識別して、がん幹細胞を明示することができるもので、がん幹細胞の存在を指標にした医薬品評価や病理組織診断などへの応用が期待される。
研究成果は、東京工科大学が全学的に取り組んでいるプロジェクト「AI研究会」によるもので、オープンアクセス学術誌「Biomolecules」2020年6月19日に掲載された。
位相差画像を用いて細胞・組織を撮影し、その画像に含まれるがん幹細胞の形態をAIで深層学習した。がん幹細胞の教師用画像には、幹細胞の性質を維持した細胞だけが蛍光を発するNanog-GFPレポーターの蛍光画像を使用した。その結果、培養皿で培養したがん幹細胞を深層学習したAIは、実画像と比較して類似性と感度が平均して約40%、特異度が97%の精度で位相差画像に含まれるがん幹細胞を識別して、その画像を生成した。腫瘍組織のがん幹細胞を深層学習したAIは、培養皿のがん幹細胞の学習よりは精度が劣った。しかし、腫瘍組織に存在するがん幹細胞と非がん幹細胞を組織診断することにおいて、AIが作成した画像は判断材料としての有用性を示した。
(詳細は、https://www.u-presscenter.jp/)