June, 24, 2020, 大阪--大阪大学大学院工学研究科の大学院生(当時)の城戸大輝、福田知弘准教授、矢吹信喜教授らの研究グループは、深層学習モデルで人や自動車などの移動物体を検出し、仮想的に除去することで、再整備後の景観を現地でリアルタイムに検討できる隠消現実感(DR: Diminished Reality)システムを開発した。
拡張現実感(AR)は、現実世界に三次元の設計モデルを加えることで、将来の景観を検討することができる。一方、DRは、現実世界にある物体を仮想的に除去することで、古くなったビルや土木構造物を撤去した後のシミュレーションができる。
景観検討用のDRはこれまで、ビルや土木構造物など動かない物体を仮想除去するシミュレーションは実現していたが、人や自動車など移動する物体をリアルタイムに仮想除去することができなかった。そのため、構造物が仮想除去された風景に、人や自動車がとり残されてしまうという課題があった。
今回、福田知弘准教授らの研究グループは、深層学習(AI、Deep Learning)によりリアルタイムに検出した物体をマスク処理し、既報のDRシステムに統合することにより、構造物などの動かない物体と人や自動車などの動く物体をリアルタイムに仮想撤去できるDRを開発した。これにより、ストック型社会で古くなったビルや土木構造物を解体撤去した後の風景をシミュレーションすることができ、街づくりや景観・環境アセスメントへの応用が期待される。
研究成果は、「Environmental Modelling & Software」に、6月10日(水)に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)