May, 26, 2014, University Park--ペンシルバニア州立大学機械工学研究チームによると、ボトムアップ手法で作製されたポラス(多孔質)シリコンは太陽エネルギーを使って水から水素を生成することができる。研究チームは、この新しい材料のアプリケーションとしてバッテリ、バイオセンサ、光エレクトロニクスを考えている。
標準的なポラスシリコン製造は、彫刻と同様に除去法であるが、機械工学助教Donghai Wang氏の研究チームは、除去するのではなく化学的方法で材料を積み上げる。研究チームは、非常に安価なシリコン源、シリコン四塩化物から始める。次に、ナトリウムカリウム合金で材料を処理する。
シリコンとシリコン四塩化物との結合は非常に強く、強い還元剤が必要になる。
結合が切れると、塩化物はナトリウム、カリウムとシリコンと結合し、塩化カリウムと塩化ナトリウム(食卓塩)は固体になり、シリコンに組み込まれた塩の結晶からなる材料になる。次にこの材料を熱処理、水洗いして塩を溶かし、5~15nmの細孔を残す。
ナトリウムカリウム合金は極めて反応性に富むので、手順全体は空気中の酸素から遠ざけて行わなければならない。したがって化学反応はアルゴン雰囲気の中で行われる。
Wang氏は、「産業レベルでナトリウムカリウム合金を用いるプロセスがいくつかあるので、この新しいタイプの多孔質シリコン作製にそのアプローチを適用できる」とコメントしている。
このシリコン粒子はたくさんの孔を持っているので、表面積が大きく、太陽光がこのポラスシリコンと水を照射するときに効果的な触媒として機能する。太陽光のエネルギーが電子を励起し、水が減少し、水素ガスが生成する。このプロセスには、シリコン結晶のナノスケールサイズから来る通常より大きい材料のバンドギャップが寄与している。
研究チームは、このポラスシリコンをリチウムイオンバッテリの陽極として利用することも検討している。
(詳細は、www.psu.edu)