June, 8, 2020, 大阪--大阪大学産業科学研究所の菅原徹准教授らの研究グループは、(株)日本触媒と共同で、混合した原料を塗って焼かずに多孔質セラミックス(酸化チタン)を、プラスチック基板へ直接コーティングする技術を開発した。
酸化チタンは、光触媒活性が高く、微生物の除菌や滅菌効果があることが知られている。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を滅菌できる可能性があることから、酸化チタンコーティングは再注目されている。
しかし、酸化チタンなどのセラミックスは、一般的に焼結温度が高いため、これまでプラスチック基板など耐熱性の低い基板へコーティングする際は、超高真空技術※2を活用するもしくは接着剤やバインダーなど接着補助機能が必須だった。
研究グループは、原料の有機金属塩と安定剤(ナノ構造の形成に寄与する対カチオン)を混合した原料を基板に塗布して、単純に加熱することにより基板へ直接ナノ構造(多孔体)薄膜をコーティングすることに成功した。また、これを応用することにより、プラスチック基板へ酸化チタンのナノ構造多孔質薄膜をコーティングすることに成功した。これにより、あらゆる基材の表面へ酸化チタンのナノ構造多孔質を成膜することができ、幅広い場所で微生物の滅菌・除菌コーティングの活用が期待できる。さらに、酸化チタンは、人体に無害かつ白色顔料としても知られており、ナノ多孔質の光散乱特性※3を利用したホワイトニングコートにも応用が期待される。
研究成果は、米国科学誌「ACS Applied Electronic Materials」に、に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)