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シドニー大学、電子を使わないデータ処理システムを開発

June, 5, 2020, Sydney--電子なしのマイクロチップは、加熱せず、低エネルギーコスト、グリーンハウスガス放出を減らすデータ処理システムの発明を可能にする。この基盤研究により研究者が、そうした目標を達成するシステムを開発できるようになる。

オーストラリアとヨーロッパの研究チームは、世界の通信の原動力となっているデータチップから「ホット」な電子を除去する方向に重要な一歩を踏み出した。

シドニー大学ナノ研究所とマックスプランク光科学研究所の研究者は、電気ではなく光と音を使うチップは、高速インターネット、レーダーやセンサ技術など将来技術の開発で重要になると主張している。これは、情報の低温、高速伝送を可能にする。

「高帯域情報システムの需要が増加しているので、加熱せず、低エネルギーコストで、グリーンハウスガスの排出を減らすデバイスを確実に発明できるように、われわれが優位に立ちたい」と物理学部、Sydney NanoのEggleton Research Group、Dr Moritz Merkleinは話している。
 
そのアイデアは、チップが光ケーブルから受信する情報の蓄積、伝達に、フォノンとして知られる音波を利用することである。これによりチップは、熱を発生する電子なしで動作可能になる。チームは、世界で初めてこのプロセスをチップ上で成功させた。

しかし、光ケーブルから音波の形で転送された情報は、ナノ秒で減衰する。それは、何か役立つことをするには十分長いとは言えない。

「われわれがしたことは、チップ上の音波を強化するために、慎重に調整した同期光パルスの利用である」とDr Birgit Stillerは説明している。同氏は、シドニー大学からMax Planck Instituteへ移動し、独立研究グループのリーダーとなっている。

「われわれは、これらのフォノンのリフレッシングが可能であること、したがって情報は、非常に長い時間蓄積、処理できることを初めて示した」と同氏は説明している。

研究チームは、注意深く光パルスを調整してチップ上の音波に蓄積された情報の寿命を300%、10 nsから40 nsに延ばした。

研究成果は、Opticaに発表された。

「われわれは、この方法を使ってチップ上に情報がとどまる時間を延ばす計画である」(Dr Merklein)。

Dr Stillerによると、チップ上の音響波は、情報を蓄積し転送する有望な方法である。

「これまで、そのような蓄積は、基本的に音波の寿命によって制限されていた。音響波のリフレッシングによってわれわれは、この制約を乗り越えることができる」。

また、南デンマーク大学(University of Southern Denmark)のプロジェクト協力者、Christian Wolff准教授は、「理論的に、このコンセプトはマイクロ秒範囲に延ばせる」と指摘している。

この原理実証デモは、光信号処理、繊細フィルタ、高精度センシングや通信向けに多くの可能性を開く。

(詳細は、https://www.sydney.edu.au)