May, 23, 2014, Stuttgart--フランウンホーファー研究所界面工学、バイオテクノロジーIGBは、ラマン分光を使って生きた細胞を迅速かつ正確に分析できる。
この非侵襲光学的手法は、様々な物質の分子フィンガープリント(指紋)を認識できるので、まず薬剤や医薬物質の品質コントロールに用いられてきた。IGBの研究成果により、今では、生物学者や生物医学の研究者もこの技術を利用することができる。生きた細胞の研究にこの技術は適している。理由は、侵襲技術を使わない、染料で生きた細胞を変えることないこと。幹細胞の特徴を明らかにしたり、腫瘍、炎症、菌類、細菌が原因となる組織の変化を特定したりするために、今では個々の細胞のラマンスペクトラムを測定するだけで十分である。
IGBのKatja Schenke-Layland教授によると、IGBは大学、企業等との共同プロジェクトで過去数年でこの分野の包括的なノウハウを開発した。これによりこの技術は純粋な研究用途から工業実装に発展し、現在では個別に細胞を研究するだけでなく、組織構造全体や臓器の研究にも使えるようになっている。
IGBの細胞生物学者は、IPMの物理学者と共同設計で構築したラマン分光計を使用している。研究者は、記録したスペクトラムをデータベースに蓄積している。「個々の細胞は、固有の、間違うことのないラマンスペクトラムを持っている。医師は、患者の細胞サンプルとデータベースと比較し、診断をより迅速に終えることができる」とSchenke-Layland氏は説明している。
この技術はすでに産業パートナーが実用ベースで使いつつある。研究者は、ガンの診断がより迅速にできるように取り組んでいる。「手術中に可搬のラマン分光装置を使用する医師は、細胞サンプルをデータベースと比較するだけで患者にガンがあるかどうかを、間違うことなく、言うことができる」。
ガン診断はまだ複雑で時間がかかる。生検用に組織を切除し、さらに分析するための準備をしなければならない。例えば、適切に切開したり、染色して生体指標を特定しなければならない。「しかし、これは検査サンプルへの介入、それを何らかの仕方で操作することが必要になる」。
検査サンプルは次に病理学者に回される。病理学者は、その組織が悪性の細胞あるいは良性の細胞を含んでいるかどうかを分析する。この方法は間違いを起こしやすい。また、検査サンプルは最終的には他のテストで使えなくなる。「われわれのデータベースとソフトウエアベースの比較することで人的エラーは減少する」とSchenke-Layland氏は言う。
この非侵襲光技術には他にもアプリケーションが多い、特に再生医療に多い。
(詳細は、www.igb.fraunhofer.de)