May, 11, 2020, Saint Petersburg--白内障は、眼病の中で最も多い。WHOによると、視覚障害の1/3が白内障の処置を必要としている。ITMOとS.N. Fyodorov Eye Microsurgery Complexの研究者は20年前から白内障手術の副作用低減に取り組んでいる。その結果、レーザを使って濁った眼のレンズを破壊し、隣接組織の再生を促進する技術を開発した。詳細は、Optical and Quantum Electronicsに発表されている。
ITMO教授、Andrey Belikovは、「その病気は外科的に処置される。濁った眼のレンズを取り除き、それをプラスチックかサファイアでできた人工レンズで置き換える必要がある。眼のレンズは超音波かレーザで破壊される。レーザを使うとき、特殊なチップをレンズに近い前房に挿入し、レーザがレンズを粉々に破壊し、眼から除去する。次に人工レンズをその場所に挿入する。問題は、このプロセスが隣接組織に損傷を与えること、さらに再生が常にうまく行くとは限らないということである」と説明している。
1つではなく2つのレーザ
ここ10年で、多くの研究者が白内障手術の損傷効果低減に注目している。研究チームは、レーザ照射を利用する実験を始めた。最初、1つの強力なレーザを使って眼のレンズを破壊し、次に出力が弱いレーザで手術領域を照射した。手術をより快適に、正確にするためである。
次第に医師は、出力の弱いレーザは手術領域を照射するだけでなく、損傷した組織の再生をも促進できることを認めた。したがって、医師は、破壊レーザと照射レーザ間の適切な相互作用法を見いだすことを目標にした。
Belikovは、「われわれは様々な構成をテストした。最初に低強度放射を使い、レンズを破壊した。あるいは、最初にレンズを破壊し、次に低強度レーザを使い再生を刺激した」と話している。
同時効果
両方のレーザを同時に使用することが最適法であることが分かった。この考えは光学エンジニアの精巧な作業が必要だった。2つの装置を同時に眼に入れることは、非常に望ましくない。両方のレーザの照射には、共通の光ファイバを使用する必要があった。
Belikovは、「2つのレーザを同時に使用することは望ましい、損傷はあるが破壊されていない細胞が得られるからだ。また、直ぐにその再生を刺激することは非常に重要だ。こうして、再生プロセスが、最も望ましい条件で起こる」と説明している。
数年にわたり研究チームは様々な組合せとパワーベルを試してきた。最終的に、波長1.44µmの高強度レーザ、波長0.632µmの低強度エンドバイオスティミレータ(endobiostimulator)レーザを使うことを決定した。この研究の成果は、近々発表される。
現在、その方法はすでにS.N. Fyodorov Eye Microsurgery Complexクリニックに導入されている。ほぼ全ての白内障手術が2つのレーザを利用する。長期的には、この方法の利用により、超音波白内障手術と比較して、1.8倍、外殻内皮細胞の損失が減少することが臨床的に証明されている。
(詳細は、https://news.itmo.ru)