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センシング向けローコスト中赤外レーザに新しい製法アプローチ

April, 6, 2020, Montpellier--モンペリエ大学の研究チームは、マイクロエレクトロニクス適合シリコン基板上に高性能中赤外レーザダイオードを初めて直接作製した。その新しいレーザにより、リアルタイムで正確な環境センシング向けローコストセンサの幅広い開発が可能になる。用途は、公害モニタリング、食品安全性分析、パイプの漏れ検出。

「ほとんどの光化学センサは、関心のある分子と中赤外光との相互作用に基づいている。マイクロエレクトロニクス適合シリコン上に中赤外レーザを作製することにより、そのコストは大幅に低減できる。携帯電話やコンピュータを作動させるシリコンマイクロエレクトロニクス製造に利用されている同じ量産加工技術で造ることができるからである」とフランスのモンペリエ大学、研究チームリーダー、Eric Tourniéは説明している。

新しい製造アプローチは、Opticaに発表された。研究は、REDFINCH コンソーシアムの一環として、EXTRAファシリティで行われた。同コンソーシアムは、ガスおよび液体の両方の化学検出用小型、ポータブル低価格光学センサを開発している。

「このプロジェクトでわれわれは、将来のセンサ向けにフォトニックデバイスを開発することで上流に進む。今後、これら新しい中赤外レーザをシリコンフォトニクスコンポーネントと組み合わせてスマートな集積フォトニックセンサを作る」とTourniéは話している。

産業適合製造
レーザダイオードは、電気を光に変換する半導体材料でできている。中赤外光は、III-V属半導体を利用して製造される。約10年、研究者は,エピタキシとして知られる方法を利用してIII-V半導体材料をシリコンに堆積することに取り組んできた。
 
以前に、研究者はシリコン基板上のレーザを実証したが、その基板はマイクロエレクトロニクス製造向けの産業標準に適合していなかった。産業適合シリコンを使うと、シリコンとIII-V半導体の材料構造の違いが欠陥形成の原因となる。

「逆位相境界と言われる特殊な欠陥がデバイスキラーとなる。それが短絡を作るからである。この新しい研究ではわれわれは、この欠陥がデバイスの活性部分に届かないようにするエピタキシャルアプローチを開発した」と同氏は説明している。

研究チームは、エピタキシャル材料からレーザダイオードを造るために使用するプロセスも改善した。その結果、産業適合シリコン基板上に,エピタキシャル装置の1回の動作でレーザ構造全体を作ることができた。

高性能レーザ
研究チームは、CWモード動作、低い光損失の中赤外レーザダイオードを作製することで、その新しいアプローチを実証した。チームは、その新しいデバイスの寿命を調べる計画である。また、その寿命がそのデバイスの製造と動作モードにどのように関係しているかも調べる。

研究チームによると、その方法が完全に成熟すると、シリコンマイクロエレクトロニクス装置を使い、大型シリコン基板上(最大300㎜径)のレーザエピタキシは、製造プロセスの制御改善となる。これは、さらにレーザの製造コストを下げ、新しいデバイスの設計を可能にする。その新しいレーザにより、パッシブシリコンフォトニックICあるいはCMOS技術と組み合わせて,小型、低コスト、スマートフォトニックセンサを作ることができる。用途は高感度のガスと液体計測。

「われわれが取り組んでいる半導体材料により,1.5µm(通信帶)~25µm(遠赤外)の広いスペクトル範囲で動作するレーザあるいはフォトディテクタの製造が可能になる。われわれの製法は、III-V半導体をシリコンプラットフォームに集積する必要があるどのような領域にも適用可能である。例えば、われわれは、この新しいエピタキシアプローチを適用して、すでに8 µmで発振する量子カスケードレーザを製造した」と同氏はコメントしている。