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チップベースデバイス、ARと量子コンピューティングに新たな扉を開く

April, 1, 2020, Washington--コロンビア大学の研究チームは、可動部分なしで青色光を成形、操作できる新しいチップベースデバイスを設計した。同デバイスは、ARおよび様々な他のアプリケーションで使用される光プロジェクションコンポーネントのサイズを大幅に縮小できる。

コロンビア大学、研究チームリーダー、Michal Lipsonは、「われわれの青色フェーズドアレイプラットフォームは、可視光を素早く、精密に再構成できる。アプリケーションは多く、スパニングホログラフィックディスプレイ、量子情報処理および生体センシングと生体刺激など。開発技術は、全可視光領域で広い視野のチップスケール光プロジェクションに道を開き、現在の大きな光学システムを小型化できる」と説明している。

研究成果は、Optics Lettersに発表された。同技術はシリコンナイトライド(SiN)プラットフォームを使用した青色波長で動作する初のチップスケール光フェーズドアレイ(OPA)である。OPAsは、3D光パタンの任意再構成を可能にすることで再構成可能なレンズのように機能する。

新しいOPMは、DARPA支援プロジェクトの一環として開発された。同プロジェクトは、軽量、ローパワーHMDの実現を目指している。これは、非常に高い解像度、広い視野で網膜に視覚情報を投影する。今日、この種の拡張ディスプレイは可能ではない。光を成形、操作するために使用する光プロジェクションコンポーネントが大きく、視界が制約されているからである。

可視光で動作
OPAsは、大きな光プロジェクションデバイスの代替となるが、一般にはシリコンを使って作られており、近赤外波長でしか利用できない。青色波長は、可視波長で動作するSiNなどの半導体材料でできたOPAsを必要とする。しかし、製造と材料的課題が、実用的な青色OPAs実現を阻んでいた。

研究チームは、この課題を克服するために先ごろ、SiN製造プロセスを最適化した。新しい研究では、チップベースOPA実現のためにこの新しいプラットフォームを適用した。

「短い波長の方が散乱は多く、デバイス製造が完璧でないと、光損失は大きくなる。したがって、青色波長で動作するOPAの実証は、われわれが全可視光範囲でこれを達成できたことを意味する」と論文の共著進、Min Chul Shinはコメントしている。

新しい青色光OPAsを利用して研究チームは視野50°でビームステアリングを実証した。また、文字の2D画像を生成し、画像プロジェクションで、この種のプラットフォームの潜在的利点も示した。

論文の共著者、Aseema Mohantyによると、テストしたチップの全てが良好に機能した。「このシステムの大規模集積は、今日のリソグラフィ技術を利用して実現可能である。したがって新しいプラットフォームは、全可視光範囲で完全再構成可能チップスケール3D立体光プロジェクションに導入される」と同氏はコメントしている。

アプリケーションはコンピューティングから生物学まで
 その新しい青色OPAは、トラップトイオン量子コンピュータに使える。これは、ミクロンスケールの光刺激に可視光域のレーザを必要とする。トラップトイオン量子コンピュータは、量子コンピューティングで最も有望な実用的設計の1つである。従来のコンピューティングよりも非常に高速になると考えられている新興技術である。

その新しいチップベースデバイスは、光遺伝学にも使える。光遺伝学は可視光を使って生きた細胞のニューロンや他の細胞をコントロールする。例えば、そのデバイスを使って、インプラント可能なデバイスを作り、病気の動物モデルでニューロンの感光性タグを刺激する。

軽量ヘッドマウントARディスプレイや光遺伝学アプリケーションではローパワー動作が極めて重要であるので、研究チームは、OPAの電力消費をさらに最適化する計画である。