March, 5, 2020, Washington--メキシコの研究グループは、様々なセメントペーストタイプの凝結時間を決める非破壊、非侵襲的光学技術を開発した。これは、新旧のコンクリート面を結合するために利用される。新しい方法は、環境への影響が少ない最適タイプのセメント開発に役立つ。
「われわれの非侵襲的光学的方法は、セメントの凝結時間を評価し決定する。これは、建設業では極めて重要なパラメータである」とUniversidad Autónoma de Aguascalientesの研究チームメーンバー、José Ortiz-Lozanoは話している。「それは、セメント水和プロセスの正確なリアルタイム評価もできる。この情報は、セメントベースの材料の物理科学の研究とナノメカニカル特性の定量評価にとって重要である」。
Applied Opticsで研究チームは、その新しい方法を説明している。これは、レーザベースの技術と光学モデルを統合して、セメントペースの動的振る舞いを計算する。研究チームは、開発したアプローチが最初の凝結時間と最終的な凝結時間の両方を正確に計算できることを示している。最初の凝結時間は、セメントを混ぜて場所に設置するために使用する時間、最終凝結時間は、セメントがその全強度に達する時間。
「われわれのグループは、セメントベースの材料、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどの性能を強化しようとしている。われわれがここで報告したような、新しい材料評価法は、その成分を最適化することでセメントの振る舞いと性能を改善ために使用される。これは、使う水、石灰石や粘度のような原材料を少なくするセメントにつながり、したがって、より環境フレンドリーになる」。とOrtiz-Lozanoは話している。
光でセメントを研究
セメント凝結の力学を研究するために様々な技術が存在するが、それらには欠点がある。破壊的、侵襲的、あるいは人的要素による影響などである。
新しい方法は、セメントペーストの光学特性を使って、最初と最後のセメント凝結時間を直接計算する。これには、セメントから反射される拡散光を計測することにより行う。
セメントが凝結すると、水に反応し、セメント粒子間のスペースの変化にしたがい、拡散光反射が変わる。存在する水の量と、各設定での保護表面層も拡散特性に影響する。研究チームは、拡散計測とKubelka-Munkモデルとを統合した。このモデルは、不透明サンプルの拡散反射説明に用いられる。
「この新しい光学的方法は、光学業界で一般的なツール、コンポーネントと材料を用いて開発された。したがって、それはセメント品質制御研究所での実施が、非常に簡単で経済的である。また、Kubelka-Munkモデルで適切なキャリブレーションが行われると、どんなタイプのセメントにも適用できる」とOrtiz-Lozanoは話している。
研究チームは、その新技術を、6つのセメントサンプルに適用し、全てのサンプルの結果が反復可能であり、今日、一般に用いられている計測技術とよく一致していることを確認した。
「レーザベースの技術により、反復性、再現性が高い、連続的で正確なセメント水和プロセス評価ができる。セメントの物理化学特性の研究への可能性も示している」と同氏は説明している。
研究チームは次に、水とセメントの比率、化学添加剤と無機質混和剤を含むセメントペースト、より多くのタイプのセメント、モルタル、コンクリートを使って、データをとることを計画している。さらに、その方法を基準として標準化するために必要な作業も進める予定である。