March, 5, 2020, Orland--セントラルフロリダ大学(UCF)の研究チームは、人の心と機械の心を分離するギャップを埋める取組をしている。
Science Advancesのカバー記事では、UCFの研究チームは、2つの有望なナノマテリアルを新しいスーパーストラクチャに統合することで、人の視覚に使う脳細胞の神経経路を模擬するナノスケールのデバイスを作製することができる、と発表した。
「これは、情報を同時に処理し記憶できるコンピュータプロセッサ、神経形態学的コンピュータの開発へ向けた小さな前進である。これにより処理時間と、処理に必要なエネルギーを減らすことができる。将来のある時点で、この発明は、人間のように考えられるロボットの実現に役立つ可能性がある」とUCFのナノサイエンス技術センタ、材料科学・工学部、准教授、Jayan Thomasはコメントしている。
准教授、Tania Royによると、この技術の潜在的用途は、ドローンアシストレスキューである。
「遠隔の山地にドローンが誘導なしで飛行し、動けなくなった登山者を見つける。これは、今日では難しい。ドローンは遠隔のサーバに接続して、そのカメラアイでスキャンしたものを特定する必要があるからだ。われわれのデバイスは、このドローンを真に自動化する。それは、正に人と同じように見ることができるからだ」と同氏は説明している。
「初期の研究では、画像を撮って、それをサーバに送り、認識してもらうようなカメラを作製したが、われわれのグループは、目と脳の機能をともに真似る単一の機器を作製した。われわれのデバイスは、画像を見て、その場でそれを認識できる」。
イノベーションの秘訣は、ナノスケール、感光性ペロブスカイト量子ドットを2D、原子厚のナノマテリアルグラフェンに成長させたことである。この組合せにより、光活性粒子が光を捕らえ、それを電荷に変換し、電荷を直接グラフェンに送る。すべてがワンステップである。このプロセス全体は、極薄の膜上で起きる。
「スーパーストラクチャの性質により、それは光アシストメモリ効果を示す。人の視覚に関係した脳細胞と同じである。われわれが開発したオプトエレクトロニックシナプスは、脳からヒントを得た、神経形態学的コンピュータに関連している。この種のスーパーストラクチャは、超薄型オプトエレクトロニックデバイスの開発で、必ず新しい方向に進む」とPradhanは話している。
また、防衛アプリケーションにも可能性がある。
「そのような機能は、戦場で兵士の視覚補助に使用できる。さらに、われわれのデバイスは、非常に低消費電力で、画像を感知、検出、再構成できるので、戦場アプリケーションへの長期導入が可能である」。
神経形態学的コンピューティングは、研究者の長年の目標である。コンピュータが人の脳と同じように、情報を同時に処理し、蓄積して視覚を実現する。現在、コンピュータは分離した場所で情報を蓄積、処理しているが、これは究極的にはそのパフォーマンスの制約となる。
そのデバイスの神経形態学的コンピューティングで、物を見る能力をテストするために研究チームは、それを使って顔認証実験を行った。
そのデバイスが、4名の異なる人々の人物像の認識に成功したことを研究チームは確認した。
(詳細は、http://www.cecs.ucf.edu/)