February, 27, 2020, University Park--積層造形の複雑さとアプリケーションの増加にともない、ペンステート(Pennsylvania State University)の研究者は、その技術を分子レベルで最適化するために最小スケールまで掘り下げようとしている。
「実際に3Dプリンティングがどのように機能しているかについては、まだ未知の部分が多い」と機械工学、化学工学、エンジニアリング科学と力学教授、プロジェクトの主席研究者、Adri van Duinは言う。「このプロジェクトでは、ともに動作する様々な分子に注目することで多くを学べるように理論化した」。
Physical Chemistry Chemical Physics誌に発表された論文が、原子スケールのシミュレーションを使ってAM製法と材料を研究者がどのように調べたかを詳細に説明している。目的は、究極的に強力で、より有用な3Dプリントされたコンポーネントのための性能最適化である。
「われわれは最も基本的なレベルに下りて、物理化学とこれら分子の相互作用の力に注目した」とvan Duinは話している。
特に、チームは、3Dプリンティングに使うバインダージェットソリューション内で起こる反応を詳しく調べた。これは、本質的に主材料のプリントされた層を結合する接着剤として機能するものである。
「ナノ粒子間の空間でそれ自身を組織化する接着剤が必要である。分子に、まだ動く能力があれば、それは理想的でもある」とvan Duinは話している。
この研究の目的に向けて、研究チームは、ReaxFF、原子化学反応をモデル化するプログラムを使い計算フレームワークを作成した。積層造形で一般に使用される金属、酸化クロムナノ粒子、および水ベースのジエチレングリコール溶液を含むバインダーを調べるためである。溶液は水素結合ネットワークによって、強力な接続を形成する。
「設計の目的は、これらのコンポーネントを改良し、強力な結合力を得る温度相の影響を調べ、一方で分子がともに表面へ移動するようにすることである」とvan Duinは話している。
これらの分子の結合が成功した後、硬化と焼結に必要とされた3Dプリンタ内の高温が、すでに不要になった有機分子を蒸発させ、最終品に金属酸化物を融合させる。実験のために設計された計算フレームワークによると、これらの温度が高すぎると、これら重要な結合を焼き尽くし、最終製品は分解される。
しかし、研究チームは、結合溶液内のジテルリドグリコールと水の量を微調整することで、強力な水素結合を強化できることを確認した。これにより混合材料は、高温下に耐え、成長することができる。
実験結果は、酸化クロム粒子を使って3Dプリント部品の生成を強化する能力を予測したが、この研究の実際の強みは計算モデルにある。このフレームワークの作成で、これらの実験を展開し、AMで使用できる潜在的な材料のために、適切な結合化学、硬化、焼結条件を見いだすことができる。
「強い結合形成法が分かると、望むもの何にでもそれ適用できる。ペプチドでこれを試したいなら、そのシミュレーションができる」とvan Duinは話している。
計算は安価であり、比較的短時間で完了する。これにより研究者は、どの方法と材料がAMアプリケーションに最も有望であるかを見るために、新しい有機分子を研究し、モデル化できる。
分子が3Dプリンタに入る前にどのように改善され、強化されるかについてさらなる理解を提供することは、研究者が大いに期待するところである。
「ナノスケールでプロセスを理解することにより、プリンタの再設計が不要になる。しかし、製造の最適化は大きく加速できる」とvan Duinはコメントしている。
(詳細は、https://news.psu.edu/)