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光で光を制御、全光コンピューティングの新プラットフォーム

February, 21, 2020, Cambridge--ハーバードJohn A. Paulson工学と応用科学(SEAS)とハーバード大学Wyss Instituteの研究者は、McMaster University および University of Pittsburghの研究者と協力して、光ビームだけで計算する、全光コンピューティングの新しいプラットフォームを開発した。

「ほとんどのコンピュテーションは現在、金属線、半導体、フォトダイオードなどのハード材料を使ってエレクトロニクスと光を結合する。オールオプティカルコンピューティングの背後にある考えは、これらの固いコンポーネントを除去して、光で光を制御することだ。例えば、完全に柔らかな、回路のないロボットが太陽光で駆動されていることを考えて見てくれ」とSEASの院生、Amos Meeksはコメントしている。

これらのプラットフォームは、光強度に反応して屈折率を変えるいわゆる非線形材料に依存している。光がこれらの材料を通して照射されると、ビーム経路の屈折率が増加し、光でできた固有の導波路を生成する。現在、ほとんどの非線形材料は、ハイパワーレーザを必要とするか、光の透過によって永久的に変えられている。

ここでは、研究チームは基本的に新しい材料を開発した。これは、屈折率を変えるために、低レーザ出力下のヒドロゲルで可逆的な膨張と収縮を利用する。

ヒドロゲルは、スポンジのように水で膨らんだポリマネットワークと、スピロピラン(トランジションレンズに色を付けるために使われる分子と同じ)として知られる少数の光反応分子で構成されている。光がゲルを通して照射されると、光照射下エリアはわずかに収縮し、ポリマが集結して屈折率を変える。光がなくなると、ゲルは元の状態に戻る。

その材料を通して多数の光が照射されると、かなりの距離があっても、それらは相互作用し、互いに影響しあう。ビームAはビームBを阻止することができ、ビームBはビームAを阻止することができ、両者は相殺するか、透過することができる、光論理ゲートが実現する。

研究の共著者、化学と化学生物学准教授、Kalaichelvi Saravanamuttu, Ph.D.は、「分離していても、それでもビームは相互を見て、結果的に変化する。長期的には、このインテリジェント応答を使ってコンピューティング操作を設計することができると考えている」と説明している。
 
「われわれは、光が存在する時に光学的、化学的、歩率的特性を可逆的に切り替える光応答材料を設計できるだけではない。その変化を利用して、光を誘導し操作することができる、光チャネル、自己トラップビームを作ることができる」と院生、Derek Morimは話している。

Wyss Instituteコア学部メンバー、Joanna Aizenbergによると、「材料科学は変化している」。「環境に応じてその特性を最適化できる自己規制、適応型材料が、静的で、エネルギー効率のよくない、外部から規制されるアナログに取って代わる。非常に小さな強度の光を制御するわれわれの可逆反応材料は、この有望な技術変革の一例である」と話している。

(詳細は、https://wyss.harvard.edu/)