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回折限界を破るカラースーパーレンズ

January, 29, 2020, Kazan--カザン大学、Sergey KharintsevはOptics Lettersに論文を発表した。論文で説明されているメタレンズは、誘電体基板に設置した薄い複合金属誘電体膜で、幅が数10ナノメートル(nm)である。

Kharintsevは、「光は波の性質を持つので、従来の顕微鏡の解像度を制限する回折限界がある。われわれのメタレンズは、その回折限界を超えることができる光学デバイスである。そのようなソリューションは、ナノスケール集積回路やセンサにおける光学技術の利用に道を開く」と説明している。

その超高分解能は、光および赤外域でメタレンズの並外れた挙動に基づいている。

「誘電体率の材料部分は、ゼロ近傍で振動する。この特性を使うと、低強度レーザ光で照射された空間的に限定された媒体で、光の誘導ラマン散乱を強化することができる。自然に発見されるほとんどの材料は、非線形効果は弱く、それを観察するには、媒体の長さを長くする(例えば、光ファイバを使う)か、レーザ励起パワー(ハイパワーパルスレーザを使う)を強くする必要がある。
 われわれは、不規則な非線形媒体として、50 nm厚窒化オキシチタン(TiON)膜を使った。膜は、マグネトロンスパッタリングとそれに続く空気中での酸化によって合成された。二段階の手順の結果、金属(TiN)と誘電体(TiO2)ナノ粒子が、膜に形成された。TiN / TiO2膜のストークス波の振幅増加は、三次感受率強化によって起こった。これは、局所的プラズモン共鳴と有効媒質の小さな屈折率によるものである。可視光と赤外域に複数のゼロ屈折率を持つ、そのような金属絶縁体ナノコンポジット膜は、ブロードバンド金属技術作成にアプリケーションが見つかった。これは、光の回折限界を超える分解能を提供する技術である」と著者はコメントしている。

カザン大学の研究者は、作製したメタレンズの表面に沿って散乱させられた40 nm多層カーボンナノチューブの可視化に成功した。分解能は100 nm以下であった。

ナノコンポジット・ゼロ屈折率(ENZ)膜は、表面強化ラマン散乱基板として使える。それは散乱信号の強化だけでなく、回折限界を超える分解能も達成する。メタレンズとENZ膜は、太陽光パネルの広帯域吸収体の作製にも使える。
(詳細は、https://kpfu.ru)