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透明物体と現象をリアルタイム超高速イメージングするカメラ

January, 29, 2020, Pasadena--1年ほど前にCaltechのLihong Wangは、1秒に10兆の写真を撮れる世界最高速のカメラを開発した。スローモーションで動く光さえも捕らえられるほどに高速である。

しかし、時には速いだけでは十分でないことがある。実際、最高速カメラでさえ見えないものの写真は撮れない。その目的のために、研究チームは、透明な物体の写真を1秒に1兆枚撮れる新しいカメラを開発した。研究成果は、Science Advancesに発表された。

Wangが、位相感度圧縮超高速写真(pCUP)と呼ぶそのカメラ技術は、透明な物体のビデオ撮影ができるだけでなく、衝撃波のような瞬間的なものも撮れる。ニューロンを走る信号でさえも撮ることができる。

同氏の説明によると、その新しいイメージングシステムは、同氏が以前に開発した高速写真システムと旧技術、位相差顕微鏡とを統合している。位相差顕微鏡は、大部分が水である細胞など、ほとんど透明な物体のイメージングを改善するために設計されている。

位相差顕微鏡は、100年前にオランダの物理学者、Frits Zernikeが発明したもので、光が異なる物質に入ると減速したり、スピードアップしたりする仕方を利用することで作動する。例えば、光ビームがガラスを透過すると、ガラスに入る時に減速し、出るときにスピードアップする。スピードのそのような変化は、波のタイミングを変える。ある光学的仕掛けを利用すると、ガラスを透過した光と、しなかった光とを区別することができる、またガラスは透明であるが、非常に簡単に見ることができる。

「われわれがしたことは、超高速イメージングができるように標準的な位相差顕微鏡を適用することである。これによりわれわれは、透明材料の超高速現象を撮ることができる」とWangは説明している。

そのシステムの高速イメージング部分は、ロスレスエンコーディング圧縮超高速技術(LLE-CUP)と同氏が呼ぶもので構成されている。ほとんどの他の超高速ビデオイメージング技術は、事象が繰り返されている間に連続的に一連の画像を撮るが、これとは異なり、LLE-CUPシステムはシングルショットである。そのショットが完了するのにかかる時間の間に起こる全ての動きを捉える。マルチショットよりもシングルショットの方がはるかに高速に撮れるので、LLE-CUPは、光そのものの動きなど、一般的なカメラ技術では速すぎて撮ることができない動きを捉えることができる。

論文では、研究チームは、水中の衝撃波の広がり、および一つの結晶材料を透過するレーザパルスの広がりを撮ることでpCUPの能力を実証している。

Wangによると、その技術は、まだ開発の初期段階であるが、究極的には、物理学、生物学、化学など、多くの分野に用途がある。

 「信号がニューロンを進むとき、神経線維の微小な膨張がある。それは、われわれが見たいと考えているものだ。ニューロンネットワークがあれば、おそらくわれわれは、リアルタイムでそのコミュニケーションを見ることができる」と同氏は言う。さらにWangは、温度が位相コントラストを変えることが知られているので、そのシステムは、「燃焼室で火炎面がどのように広がるかを撮ることができるかもしれない」とコメントしている。

(詳細は、https://www.caltech.edu/)