January, 24, 2020, Wanshington--トゥエンテ大学(University of Twente)の研究チームは、レーザを集積したチップベースセンサを使って、尿試料に非常に低レベルのガンタンパク質バイオマーカーを検出した。その新技術は、他の設計よりも高感度であり、病気の存在や進行を示唆する非侵襲的で安価な分子検出法につながる。
「バイマーカーレベルを計測する現在の方法は高価で高度であり、生検や特殊な研究室での分析を必要とする。われわれが開発した新技術は、もっと速く、超高感度にバイオマーカーパネル検出に道を開く。これにより医者は、個別診断、ガンを含む医療状況の処置を改善するタイムリーな判断ができる」とオランダ、トゥエンテ大学、研究チームリーダー、Sonia M. Garcia-Blancoは説明している。
Optics Lettersでは、H2020 European project GLAM (Glass multiplexed biosensor)が助成する研究グループが、その新しいセンサがS100A4を、臨床に関連するレベル、ラベルフリーで検出できることを示している。S100A4は、人の腫瘍発展に関連するタンパク質。
「そのバイオセンサにより、様々な病気を同時スクリーニングする診断現場デバイスが可能になる。操作は簡単であり、複雑なサンプル処置、センサ操作は不要であるので、臨床応用には優れた候補となる」とGarcia-Blancoは話している。
研究チームによると、そのセンサは、非バイオメディカルアプリケーションにも可能性がある。例えば、様々なTypeのガスあるいは混合液体の検出にも使える。
高感度センサの作製
そのチップベースセンサは、オンチップマイクロディスクレーザからサンプルに光を照射することで特殊な分子の存在を検出する。光が目的のバイオマーカーと相互作用すると、このレーザ光の色、つまり周波数が、検出できるようにシフトする。
尿サンプルで検出を行うために研究チームは、液体環境で動作するレーザを組み込む方法を考えなければならなかった。チームは、光学材料酸化アルミニウムを利用した。イッテルビウムイオンを添加すると、水吸収帶外の波長範囲の光を放出するレーザを製造するために使えるからである。それでも光は、バイオマーカーの精密検出を可能にする波長である。
「レーザの周波数シフトのモニタリングに基づいたセンサはすでに存在するが、それらは小さな、使い捨て可能な光チップに簡単には組み込めない形状であることが多い。酸化アルミニウムは、モノリシックにオンチップ製造が容易であり、標準的な電子製造手順に適合する。つまり、センサは、大規模、産業規模で製造できる」(Garcia-Blanco)。
他の同様のセンサで使用されている非レーザ発振リング共振器ではなく、マイクロディスクレーザを使うと、前例のない感度に道を開く。その感度は、レーザ線幅が、パッシブリング共振器の共振よりも遙かに狭いことから来るものである。他のノイズ、熱雑音などを取り除くと、この方法は、極めて低濃度でバイオマーカーからの非常に小さな周波数シフトの検出も可能にする。
微量バイオマーカー濃度の検出
尿など、複合液体で目的のバイオマーカーを捕らえるように表面処理を開発、適用した後、研究チームはその新しいセンサを既知のバイオマーカーレベルを含む合成尿でテストした。300ピコモルの低濃度でS100A4を検出することができた。
「この濃度範囲での検出は、ラベルフリーバイオセンシングでそのプラットフォームの潜在力を示している。さらに、検出モジュールは、成熟技術を使って非常に簡単に製造できるので、ラボ外の最終アプリケーションにそれを一歩近づける」と同氏は言う。
研究チームは、全ての関連光源と信号生成コンポーネントをチップに組込み、そのデバイスをさらに扱いやすくしようとしている。また、多様なバイオマーカーのパラレル検出を可能にする様々なコーティングの開発も考えている。