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マルチビームX線タイコグラフィを実証

January, 21, 2020, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学研究センター理研RSC-リガク連携センターイメージングシステム開発チームの高橋幸生チームリーダー(東北大学多元物質科学研究所教授、大阪大学大学院工学研究科招へい教授)、広瀬真研修生(大阪大学大学院工学研究科博士後期課程)らの共同研究グループは、放射光マルチビームを用いたX線タイコグラフィ(マルチビームX線タイコグラフィ)の実証に成功した。

研究成果は、放射光を高い効率で利用でき、単一ビームを用いた従来法よりも広い視野で試料を観察できるといった特長があるため、さまざまな試料の広視野・高分解能イメージングへの応用が期待できる。部分的コヒーレントな光源である放射光を利用したX線タイコグラフィでは、放射光の利用効率が大きく制限され、X線タイコグラフィの性能向上の妨げとなっていた。

今回、共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」において、複数の開口を持つ多重スリットと全反射集光鏡を用いて形成した集光X線マルチビームを試料に同時に照射し、複数カ所からの回折強度パターンを取得した。回折強度パターンに全変動正則化を組み込んだ位相回復計算を実行した結果、試料像の再構成に成功した。この手法では、開口数(ビーム数)に比例して放射光の利用効率が向上するという利点がある。

研究成果は、Optics Expressオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)