January, 7, 2020, Linköping--有機エレクトロニクス研究所の研究チームは、導電性ポリマでできた光ナノアンテナを開発した。アンテナは、スイッチON/OFFでき、全く新しいタイプの制御可能なナノ光コンポーネントを実現する。
光が金属ナノ粒子と相互作用するときにプラズモンが生ずる。入射光が粒子内の電子の集団振動、不均一な前後運動を起こす。プラズモンとはこの集団振動である。金属ナノ構造とナノメートルスケールで光を成形する能力を世界中の多くの研究グループが、バイオセンサ、エネルギー変換デバイスに使うために、また他の光学現象を強化するために研究している。他の潜在的な利用領域には、例えば、微小医療機器や、ビルに入るあいるいは出る光や熱をコントロールする窓がある。
自然のナノテクノロジー
Nature Nanotechnologyの記事で、Linköping Universityの研究者は、金や銀などの従来の金属の代わりに導電性ポリマでできた光ナノアンテナを紹介している。この場合、変形DEPOTを使用しており、これは熱電およびバイオエレクトロニクスを含む多くの領域で広く用いられているポリマである。
研究チームのリーダー、Magnus Jonssonは、「光は、有機物質のナノ構造でプラズモンに変換できることを示している」と言う。
とはいえ、導電性ポリマでプラズモンを造るのは電子ではなく、ポラロンである。ポリマは、長い原子の連鎖でできており、研究チームが取り組んでいる導電性ポリマでは、それは、電気伝導性に関係あるポリマチェーンに沿った正電荷である。関係するチェーンの歪みとともに、これらの正電荷がポラロンを形成し、光がそのナノ構造に入ると集団振動が始まる。「われわれの有機アンテナは、可視光に透明であるが、少し長い波長の光には反応するので、スマートウインドウなどのアプリケーションには興味深いものとなる」とMagnus Jonssonは説明している。
数十億の微小ディスク
研究チームは最初に理論計算を行い、実験を設計するためのシミュレーションを実施した。したがって、継続して実験を行うことができた。グループの博士課程学生、Shangzhi Chenが、一つの表面上に数十億の微小なナノメートルサイズの有機導電性材料ディスクを作ろうとしていた。これらの微小ディスクは、光に反応し、微小なアンテナとして機能する。
研究チームは、そのディスクの直径と厚さの両方が、反応する光の周波数を決めることを示した。したがって、ディスクの形状を変えることでこの波長をコントロールできる。また、研究チームは、利用するポリマを変えることでナノアンテナが反応する波長の範囲を広げられるとも考えている。
チームが探求した別のイノベーションは、有機ナノアンテナのON/OFFスイッチング能力である、これは従来の金属では難しい。ラボで作製した材料は、最初、酸化状態にあり、ナノアンテナのスイッチはONである。
「それを蒸気に触れさせることで、材料を還元すると、その導電性をOFFにでき、この方法でもアンテナであることを示した。次に、例えば硫酸を使って、再び酸化させると、アンテナは導電性を取り戻し、ナノアンテナは再びスイッチONになる。これは、当座は、比較的遅いプロセスであるが、われわれは初期段階にあり、それが可能であることを示した」とMagnus Jonssonは話している。
「これは基礎研究であるが、われわれの成果は、新しいタイプの制御可能なナノ光コンポーネントを可能にするものであり、多くのアプリケーションに使用可能であると考えている」。