December, 10, 2019, Northbrook--非線形光学&短パルス分光学Max Born研究所(MBI)およびLaser-Laboratorium Göttingen (LLG) and Active Fiber Systems (AFS)の研究チームは、マルチミリジュール(mJ)3-サイクルパルスを318W平均パワーレベルで生成した。この成果は、少サイクルレーザ技術における大きな成果であり、産業アプリケーションへの道を開くものである。研究成果は、メモランダムとしてOpticaに発表された。
電磁場がわずか数振幅の極短光パルスは、人類がこれまで実現した中で最速のものに入る。最初の数サイクルパルスは約30年前に作られたが、それは最先端の科学、例えば時間分解研究、アト秒パルス生成に使えただけであった。産業アプリケーションで使うには、対処すべき大きな課題が多数存在する。例えば、ターンキー動作、数サイクル光源のエネルギーとパワー拡大など。
MBI、LLGおよびAFSの研究者は、高エネルギー、ハイパワーレーザシステムからの300fs長パルスを数サイクル幅に直接圧縮することで新たなアプローチを追求した。これは30倍の圧縮を必要とする。それは、制約のない長さ拡張性がある、伸張フレキシブル中空ファイバ技術の導入によってごく最近に実行可能になったものである。研究では、コヒレントに結合された多チャネルファイバレーザが光源として使用された。これは、1kW平均パワーで最大10mJパルス。このシステムは、ハンガリー、ゼゲドにある主要欧州レーザファシリティELI ALPS向けにAFSで現在開発中である。パルス圧縮では、6-m長伸張フレキシブル中空ファイバを使用した。これは、MBIとLLGが共同開発したものである。中空導波路を満たしたアルゴンガスをパルスが伝搬すると、強い光とガス原子の間に非線形相互作用、自己位相変調が起こる。これがスペクトルを広げる。大きく広がったスペクトルのパルスは、次に、そのスペクトル位相を一連のチャープミラーで補償することで、短い幅に圧縮できる。この方法で、研究チームは、平均パワー318W、100kHz繰り返しレートで、マルチ-mJ、10fsパルスを生成することに成功した。これは、これまでに達成した数サイクルレーザの最高平均パワーである。
この成果は、伸張フレキシブル中空コアファイバ技術を使うことで産業グレードレーザが数サイクル領域にできることを示している。これは、高度に並行化された材料加工など、産業アプリケーションに新たな可能性を開く。