December, 9, 2019, New York--近赤外(NIR)光は、光スペクトルの赤色外側を示す最短波長光源である。NIR光は、光通信、医療用レーザ、自動運転車のLiDAR、セキュリティや監視機器、プライベートから防衛まで幅広く用いられている。このNIR光を利用するためには、フォトディテクタで光を電気エネルギー変換する技術が重要になる。POSTECH(浦項工科大学校)の研究チームは、砂時計原理を利用することで、NIR光の吸収率を高めたフォトダイオード開発に成功した。
Chang-Ki Baek教授をリーダーとする研究チームは、Creative IT Engineering and Sol Yoon of Electronic and Electrical Engineering.のKihyun Kim, Myunghae Seoで構成される。チームは、従来の半導体プロセスを利用しながら光応答を増強するために、砂時計形状のナノワイヤを開発した。研究成果は、Nature Electronicsに発表された。
この研究以前には、近赤外PDsは化学物質で作られていた。このため、それを大面積にする際に、ノイズと高い製造コストが問題になっており、個別の冷却デバイスが必要だった。また、集積も難しかった。化学材料のこれらの問題を克服するためにチームは、シリコンを代わりに使った。さらに、シリコンのNIR光吸収を高めるために砂時計形状シリコンナノワイヤの利用を提案した。
ナノワイヤの上部で弱い音が大きく聞こえるので、光はウィスパリングギャラリモード共振を起こしている。したがって、近赤外光はナノワイヤの直径を回転し、吸収される。つまり、光波長拡大に効果がある。また、ナノワイヤの下部は、垂直方向に直径が徐々に大きくなり、そこでは空気とシリコンとの屈折率差が徐々に大きくなる。このため、ナノワイヤ上部から反射あるいはまた浸透してきた光源が効率よく吸収される。
研究チームは、砂時計形状のナノワイヤが、既存フラットパネルのシリコンフォトダイオードと比べて、1000nm波長で近赤外光学効果が29%増加したと説明している。さらに、この新開発のフォトダイオードは、実証のためにモバイル心拍数計測システムに適用された。こうすることで、それが非常に大きな心拍数で実証され、既存のフォトダイオードと比べて誤り率が1%以下であることが証明されたので、研究チームは、それの商用化を検証し確認した。
研究リーダー、Chang-Ki Baek教授は、「この研究は、ローコスト量産可能、100%半導体製造に適合する既存のシリコンを使った。既存のシリコンが検出できない波長で、近赤外光の光応答性増加を実証できたことは非常に意義深い。開発されたデバイスは、ナノワイヤ構造に従い、所望のNIR波長吸収を最適化できる。さまざまな分野、例えば自動車用LiDAR、医療レーザ、軍用暗視ゴーグル、イメージセンサなどへの工学ソリューションが期待できる」とコメントしている。
(詳細は、https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-11/puos-hsn112519.php)