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超短パルス軟X線レーザ特有の表面加工メカニズムを解明

December, 2, 2019, 東京--量子科学技術研究開発機構量子ビーム科学部門関西光科学研究所他の研究グループは、X線自由電子レーザ「SACLA」を用いて超短パルス軟X線レーザに特有の表面加工メカニズムを解明した。

 現在、ナノメートルスケールの半導体造形技術は複雑な工程からなるリソグラフィプロセスによって実現されている。将来の量産化や低価格化を実現するためには、より単純な直接加工プロセスを用いた精密加工技術による高い量産性と品質の実現が鍵となる。従来用いられている赤外領域(波長:800〜1000 nm程度)に比べて波長の短い極端紫外(EUV)~軟X線領域(波長:10〜200 nm程度)の超短パルスレーザを用いると、波長と同等の超精密加工が可能になると期待されている。また、パルス幅が数十~数百フェムト秒である超短パルスレーザを用いることで、加工領域以外への熱的影響を抑制した非熱的加工が実現可能となる。

 得られた実験結果を軟X線エネルギーの吸収による原子と電子の振る舞いを組み込んだ理論モデル計算と比較した結果、照射レーザの波長や照射強度を材料に応じて適切に選択することで、シリコンだけでなくさまざまな材料で熱的影響を抑制した超精密加工が実現できる可能性を明らかにした。今後、さまざまな材料を用いた超短パルス軟X線レーザによる加工データの蓄積と検証を積み重ねることで、レーザ加工学理の解明が進み、高集積回路やナノ構造をもつ機能性材料の量産化につながると期待される。

 研究成果の詳細はNature Researchが提供するオープンアクセス・ジャーナル “Communications Physics”にオンライン掲載された。

(詳細は、https://www.qst.go.jp)
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研究グループ
量子科学技術研究開発機構量子ビーム科学部門関西光科学研究所のヂン・タンフン主任研究員、石野雅彦主幹研究員、錦野将元グループリーダー、宇都宮大学学術院(工学部)の東口武史教授、東京大学大学院工学系研究科附属光量子科学研究センターの坂上和之主幹研究員、早稲田大学理工学術院の鷲尾方一教授、東北大学多元物質科学研究所の羽多野忠助教、理化学研究所(理事長:松本紘)放射光科学研究センターの大和田成起研究員(当時)、高輝度光科学研究センター(JASRI)の犬伏雄一主幹研究員