November, 29, 2019, Gaithersburg--光パルスは、圧縮、伸ばす、2つに分ける、その強度を変える、その電界の方向を変えるなど、考えられるどんな方法でも成形できると考えられる。
超高速光パルスの特性を制御することは、高速光回路で情報を送る、一秒に何十兆回も振動する原子や分子のプロービングでは極めて重要である。しかし、パルス成形の標準的方法は、空間光変調器を使用しており、これは高価で、大きく、科学者がますます必要としている精密制御ができない。加えて、これらのデバイスは一般に液晶ベースであり、液晶は、成形するために設計した正にその同じ高強度レーザ光のパルスで損傷を受ける。
NISTとメリーランド大学ナノセンター(University of Maryland’s NanoCenter)の研究チームは、光を形作る斬新でコンパクトな方法を開発した。まず、ガラス上に数百ナノメートル(nm)厚の超薄型シリコ層を堆積し、次に保護材料でシリコンの微小方形アレイを被覆した。各方形周囲のシリコンをエッチングで除去することで、研究チームは微小なピラーを作製した。これが、光成形技術で重要な役割を担う。
その平坦な超薄デバイスは、メタサーフェスの一例である。透過する光波の特性を変えるために、これが使使用される。ナノピラーの形状、サイズ、密度、分布を慎重に設計することで、各光パルスの多重特性が、同時に、ナノスケール精度とは独立に調整可能になっている。これらの特性に含まれるのは、波の振幅、位相、偏光である。
相互に直角に振動する一連の電界と磁界、つまり光波は、海の波と似た山と谷を持つ。振幅は波の高さ、位相はピークと谷に対する相対的な位置。
「超高速レーザパルスの各周波数成分の位相と振幅を独立に、同時に操作する方法を考える。これを達成するために、われわれは注意深く設計されたシリコンナノピラーを使用した。1つがパルスの各構成色であり、それにデバイスの背後に作製された集積ポラライザがある」とNIST、ナノセンターのAmit Agrawalは説明している。
光波が一連のシリコンナノピラーを通過すると、その波は空気中の速度と比べて減速し、位相が遅れる。その波が次のピークに到達する瞬間が、空気中ならその波が次のピークに到達していたであろう時間よりも、わずかに遅れる。ナノピラーのサイズが、位相変化量を決める、それに対してナノピラーの方向は、光波の偏向を変える。ポラライザとして知られるデバイスが、シリコンの背後に取り付けられていると、偏向の変化は、対応する振幅の変化になる。
一般的な超高速レーザ光パルスは、わずか数フェムト秒しか続かない。短すぎて、どんなデバイスも瞬時に光を成形することはできない。そうするよりもむしろ、研究チームは、パルスを形成する個々の周波数成分あるいは色を成形する戦略を考案した。これはまず、回折格子という光学デバイスで、光をその成分に分離する。
各々の色は、異なる強度、振幅をもっている。ナノピラーにエッチングされたシリコン面に向かうと、様々な周波数成分が、一連の異なるナノピラーとぶつかる。各組のナノピラーは、特定の方法で成分の位相、強度、偏光(電界方向)が変わるように調整された。二番目の回折格子は、すべてのその成分を再結合して、新たな形状のパルスを作った。
研究チームは、超高速光パルス(10fs以下)と連携するようにナノピラーを設計した。光パルスは、700(可視光の赤)~900nm(近赤外)の幅広い周波数成分で構成されている。これらの周波数成分の振幅と位相を同時にまた独立に変えることで、チームは、その方法が制御可能な方法でパルスを圧縮、分割、歪ませることを実証した。
デバイスのさらなる改善により、光パルスの時間発展に対して付加的制御ができ、周波数コムの個々のラインを絶妙に成形できるようになる。周波数コムは、光周波数を計測する精密ツールである。原子時計、遠隔の星の周りの惑星を特定するために使用される。
(詳細は、https://www.nist.gov)