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ラフバラー大学、ソーラパネルのギラつきを抑えるARコートを開発

May, 14, 2014, Loughborough--UKのラフバラー大学(Loughborough University)の研究チームは、ガラス表面用に多層反射防止(AR)コーティングを開発した。これにより、太陽光発電パネルからの太陽の反射を抑制すると同時に、効率改善も実現する。
 このコーティングは、再生可能エネルギー&持続可能技術センタ(CREST)の研究チームが、太陽パネルメーカーが関心を示すと考えて開発した。コーティングは、メガネにARコートをつけるのと同じ技術を適用している。
 多層ARコーティングデザインを考案したCRESTメンバー3人のうちの1人、Michael Walls教授は、メーカーがこのARコーティングを実際に採用することを望んでいる。「これを採用すると、モジュールパワー出力は約4%改善される。また、量産すればコストも下がる。フロートガラスメーカーにとっては大きな付加価値になる」。
 個々のガラス表面は入射光の約4%を反射するので、モジュールに入る光の損失は大きい。Walls教授、Dr Piotr Kaminski氏、Fabiana Lisco氏が開発したARデザインは、PVパネルが受ける波長範囲で反射を70%以上減らす。ARコートガラスで覆われた領域ははっきりと見えるが、コーティングしていないガラスで覆った太陽電池の部分は反射でよく見えなくなっている(図参照)。
 このデザインは、酸化ジルコニア、二酸化ケイ素の層を交互にコーティングしており、スタック全体は300nm以下の厚さ。これらの材料を選んだ理由は、豊富にあり低コストであること。
 Dr Kaminski氏は、「ARコーティングはコスト効果がよくなくてはならないので、デザインは妥協している。ほしいのは最高品質のARコーティングであるが、安価な材料でなければならない。また、可能な限り少ない層でなければならない。さらに、製造時間を節約するためにスタック全体が極めて薄いことが必要だ」と話している。
 コーティングにはマグネトロンスパッタリングを使用している。この装置は、UKのPower Vision社がメガネレンズにARコーティングするために開発したものである。
 この開発成果は特に薄膜CdTe太陽電池デバイスの効率向上を狙ったものであるが、CIGSやアモルファスシリコンなど他の薄膜技術にもこのコーティングは適用できる。
 また、結晶シリコンモジュールのカバーガラス、有機デバイス、ペロブスカイトデバイスなど第3世代デバイスにも適用できる。
 「PV技術はそれぞれ動作する波長範囲が違っているが、それぞれの場合に応じてその違いを多層デザインに取り入れるのは比較的簡単だ」とDr Kaminski氏は説明している。
 材料は傷が付きにくく非常に耐久性が高いので、PVモジュールメーカーが保証する25年間は有効であるる考えられる。