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ゴーストイメージングで動く対象を捉える

November, 19, 2019, Washington--中国国防科技大学の研究者は、ゴーストイメージングとして知られる特殊なイメージングで動く対象を捉える方法を開発した。新しい方法は、バイオメディカルイメージング、セキュリティチェックやビデオ圧縮、蓄積など新しいアプリケーション向けに、その技術を実用的にする。
 ゴーストイメージングには多くの利点がある。その1つは、従来のイメージングアプローチと比べて、微光レベルで対象を照射することで画像を形成できることがある。しかし、ゴーストイメージングは、静止対象に限定されている。画像再構成に必要な対象への一連の光パタンを投影に長い時間を要するからである。このため、動く物体の画像は、ぼやけて見える。
 中国国立防衛科技大学の研究チームは、Optics Lettersで、ぼやけた画像の画像と対象の位置についての詳細を統合して、ゴーストイメージングで動く物体の高品質画像作成方法を説明している。
 研究チームリーダー、Wei-Tao Liuは、「われわれの研究は、ぼやけた画像が役立つ情報を含んでいることを示している。さらなる改善で、このアプローチは、ゴーストイメージングを人間の生体医用イメージングなどのアプリケーションに役立つようにできる。例えば、X線といっしょに使うと、イメージングに必要な放射線量を減らすことができる」とコメントしている。

鮮明な画像の作成
 ゴーストイメージング技術は、対象と相互作用するビームを参照ビームと関連付けることで画像を形成する。単独には、そのビームは、対象物についての意味のある情報をまったく持っていない。そのイメージング技術は、可視光、X線、電磁スペクトルの他の部分で機能する。構造化光ビームが空間光変調器で計算的に生み出されるとき、そのイメージング技術は、複雑で高価なカメラの代わりに、ローコストのシングルピクセルディテクタで実行できる。
 ゴーストイメージングを動く対象に適用するために、新しい方法は少数の光パタンを使って、対象物の位置と軌跡を捉える。研究チームは、様々な場所で捉えた、この位置情報とぼやけた画像を相互に関連付けるアルゴリズムを開発した。これにより、鮮明な画像が徐々に形成できる
 「このアプローチは、高速イメージング要件を緩和する、またそのアルゴリズムは線形であるので、大量の計算パワーを必要としない。その方法は、一般的なゴーストイメージングシステムで実行可能である。追加のデバイスは不要であり、画像はタイムリーに再構成される」とLiuは説明している。

標準セットアップで新情報をキャプチャ
 研究チームは、一般的なゴーストイメージングシステムを使って新しい方法を実証した。システムでは、回転ディフューザで生成したランダムなライトフィールドを2つのビームに分けた。一方のビームは、CCDカメラで記録され、他方は動く対象物を照射した。これは、研究者がデジタルマイクロミラーデバイスを使って作成したものである。動く対象物からの光は、シングルピクセルディテクタで集められた。
 「われわれは、この方法が画像の軌跡を捉え、高品質画像を形成することを実証した。この同じ実験条件では、従来のゴーストイメージングアプローチであれば、対象物のほとんどの情報が失われていたと考えられる。つまり動きによってぼやけるからである」とLiuはコメントしている。
 研究チームは、このアプローチが、もっと速いスピードで動く対象で機能するように、パフォーマンス改善に取り組んでいる。また、その技術のアプリケーションをさらに広げるために、必要な光の量をさらに減らしたいとも考えている。