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3Dプリンティングを使いガラス光ファイバプリフォーム作製

November, 8, 2019, Washington--シドニー工科大学の研究チームは、シリカガラス光ファイバ線引きできるプリフォーム作製に3Dプリンティングを使う方法を開発した。この新しい製法は、光ファイバの製造を簡素化するだけでなく、以前には可能でなかった設計とアプリケーションを可能にする。
 「石英光ファイバの作製には、旋盤でチューブを回転させる労働集約的なプロセスが必要になる。これは、ファイバコアを正確に中心にしなければならない」とシドニー工科大学の研究チームのリーダー、John Canningは話している。「積層造形(AM)では、ファイバ形状が中心にある必要はない。これは、ファイバ設計の最大制約の一つを取り除き、ファイバ製造コストを大幅に低減する」。
 研究成果は、Optics Lettersに発表された。CanningのグループはUniversity of New South Walesと協力して、3Dプリントプリフォームから線引きした初のシリカガラスファイバを報告している。
 「3Dプリンティングのような積層製造アプローチは、ファイバの設計と目的への全アプローチの変更に最適である。これは、例えば、光ファイバセンサのアプリケーションを拡大する。光センサは、電気センサと比べて、長さ、キャリブレーションおよびメンテナンスで著しく優れている。しかし、製造が高価であるため、普及していない」。

ポリマー3Dプリンティングをガラスに移行
 新しい成果は、初期の成果を利用したものである。研究チームは、ポリマー材料を使って、3Dプリントプリフォームから初の線引きを実証した。このアプローチをシリカに適用することは、難しいことが分かった。ガラスを3Dプリントするために必要な1900℃以上の高温を含め、大きな材料課題があるからである。
 新しい研究では、研究チームは、入手できる市販のダイレクト光プロジェクション3Dプリンタを利用した。この種の積層造形(AM)は一般に、極めて精密で、光反応モノマを重合化するするためにデジタル光プロジェクタを使い、ポリマー物体作製に利用されている。シリカ物体を作るために研究チームは、重量比50%以上でモノマにシリカナノ粒子を加えた。コアのためのホールを含む3Dプリント円筒物体を設計した。チームは、次に、同じポリマーとナノ粒子の混合物をホールに挿入した。ここでは、より高い屈折率を実現するためにゲルマノケイ酸塩をシリカナノ粒子に加えた。この方法を利用すれば、広範なドーパントの組み込みが可能になる。
 次にチームは、脱バインドという独自の加熱ステップを使い、ポリマーを除去して、シリカナノ粒子だけを残した。これは、分子間力によって結合している。最後に、温度を上げて、ナノ粒子を固体構造にさらに溶融した。固体構造は、線引きタワーに挿入され、そこで加熱され、線引きされて光ファイバを造る。
 研究チームは、その新しい技術を使い、標準ゲルマノシリカファイバに相当するプリフォームを造った。ゲルマノシリカファイバは、線引き条件によりMMF、SMF製造に利用できる。最初に製造した光ファイバでは光損失は高かったが、その後、この損失の原因を特定し、それへの対処に取り組んでいる。
 「その新技術は、驚くほど良好に機能しており、他のタイプの光コンポーネントを改善するために広範なガラス材料加工に適用できる」とCanningはコメントしている。さらに同氏は、「光損失を制限するためのさらなる改善により、この新しいアプローチは、従来の旋盤ベースのシリカ光ファイバ製法を置き換える可能性がある。これは、製造と材料コストを削減するだけでなく、労働コストも下げる。トレーニング危険度が低下するからである」と続けた。