November, 8, 2019, Washington--LEDと透明導電回路の接続により、ガラス窓、壁、ビルの外観を、情報を提供し、ビデオや画像を表示するシースルーディスプレイに変えることが可能になった。このような回路を作る新しいアプローチにより、透明LEDスクリーンのコストを下げ、その技術が柔軟な、湾曲した基板に利用することが可能になる。
研究成果は、Optical Materials Expressに発表された。それによると、銀ナノワイヤネットワークベースのメートル規模の透明導電回路製造が、剛体と柔軟の両方の透明LEDスクリーンでこのような回路を立証している。
「透明LEDスクリーンは、従来のLCDsあるいはLED TVsとまったく同じように機能するが、光を遮ることがないので、従来のディスプレイ技術ではできない創造的アプリケーションが可能になる。われわれが製造した回路は、透明度が高く、導電的、柔軟であり、今日使用されてる透明回路の置き換えとして有望である」と浙江大学研究チームリーダー、Liu Yangは説明している。
現在の透明回路の置換え
透明LEDディスプレイは、一般にフッ素ドープ酸化スズ(FTO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)でできた透明回路を実装している。インジウムは高コストであり、大きな透明ディスプレイに必要な複雑で高価な製造プロセスのために、研究者は、これらの材料の代替を探してきた。また、ITOとFTOでできた回路は、柔軟なアプリケーションには脆弱すぎる。
銀ナノワイヤネットワークは、置き替えとして有望である。銀ナノワイヤは、簡単に合成でき、大面積に分布できるからである。また、優れた光透明性があり、導電性が高く、壊れることなく、性能に妥協することなく曲るからである。銀ナノワイヤネットワークは、透明導電膜を造るために使われている。それらを使って長い回路を造ることが課題であることが分かっている。
新しい研究では、チームは、メートル規模の透明LEDスクリーンに必要な超長尺回路を作るために銀ナノワイヤの単純な製造工程を開発した。スプレイコーティング法と犠牲マスクを使い、研究チームは1.2mの銀ナノワイヤ透明導電回路を作製した。
その新しい透明導電回路は、ランダム分布銀ナノワイヤで合成されている。これは、プラスチックやガラスなどの基板にパタン状で用いられる。ナノワイヤネットワークは、導電性がよく、透明性を危うくしないほどの密度でなければならない。
「銀ナノワイヤの非常にシンプルでローコストの製法と本質的な柔軟性により、これら新しい透明導電回路はコストを下げ、透明LEDスクリーンのアプリケーションを柔軟で大角度の湾曲面に広げる」とYangはコメントしている。
シースルーディスプレイのテスト
銀ナノワイヤ回路の分析は、それらがITOよりも高い導電性を示しながら、極めて透明性が高いことを示した。研究チームは、プラスチック膜に堆積した銀ナノワイヤ導電ストリップとITO透明ストリップを半径2㎜まで曲げるテストも実施した。銀ナノワイヤストリップは、曲げテスト中、機械的柔軟性と安定性能を示した。一方、ITOは、性能を維持できなかった。
次に、研究チームは、その銀ナノワイヤ透明導電回路を枯ガラス基板またはプラスチック基板のプロトタイプLEDディスプレイに組み込んだ。これらには、小さなボトルの周りに巻いたり、半径15㎜程度に曲げても十分なパフォーマンスのプラスチックデイスプレイが含まれている。
研究チームは、わずか2、3の簡単なステップで、そのプロトタイプスクリーンは、実用的な透明スクリーンになると指摘している。例えば、その透明導電回路は、ビデオ表示用に接続LEDのプログラミングができるように簡単に設計できる。また、その回路は、環境の化学反応を避けるために、基板への接着を強化するためにコーティングで保護する必要がある。スクリーンは、さらなる保護のために、またメンテナンスが容易になように、合わせガラス、あるいは透明プラスチック膜と一体化することになる。