October, 29, 2019, Washington--電荷や関心のある化学物質を前例の内感度で検出できる新しいレーザベース法が開発された。その新しいアプローチはいずれ、放射性物質、危険な化学物質を広範囲にスキャンする方法を安全、セキュリティアプリケーションに供給することになる。
新技術は、中赤外ピコ秒レーザ駆動電子アバランシュと言い、空気中あるいは他の気体中の極めて低い電荷密度を検出する。研究チームは、1ppq以下のレベルで、放射能源で生成された空気中の電子密度を計測することができた。これは、1000兆の正常な気体分子から1個を取り出すのに等しい。
研究成果はOpticaに発表された。メリーランド大学の研究チームは、1mの距離から、放射能を浴びた空気を検査するためにレーザをキャリブレートする新しい方法の利用を報告している。チームによると、そのアプローチは、他の化学物質や種の検出にも適用でき、遠隔検出は、10m、最終的には100mの距離に拡張できる。
論文の著者、Daniel Woodburyは、「どんな他の方法でも計測できないほど低い、電荷密度を測定できる。われわれは、その方法の放射線源を検出する能力を実証しているが、最終的には気体中の微量化学物質計測に必要な状況で使用できる。例えば、公害、化学物質あるいは安全脅威の追跡に役立てる」とコメントしている。
空気中の電子を検出
新技術は、電子アバランシュとして知られるプロセスに基づいている。ここでは、レーザビームが、気体中の単独自由電子を加速し、最終的にそれが分子から別の電子を叩き出すまでのエネルギーを蓄積し、第2の自由電子を生成する。このプロセスは繰り返し、衝突カスケード、つまり雪崩(アバランシュ)に発展する。それは、レーザ焦点に観察可能な明るいスパークが見えるまで指数関数的に増加する。
「レーザ駆動電子アバランシュは、1960年代から存在しているが、われわれは新しい種類の高オネルギー、長波長レーザ、ピコ秒中赤外レーザを使い、最初の自由電子だけによってシードされた局所的衝突カスケードの検出を可能にした」と研究チームリーダー、Howard M. Milchbergは説明している。「レーザパルスが使う波長が短くなると、アバランシュをシードする元の自由電子は、衝突を通してではなく、レーザフォトンで直接生成される自由電子で覆われる」。
研究は、グループの以前の研究に立脚している。これは、Mid-IRによるアバランシュブレイクダウンが、放射源近傍の電子密度の影響を受け、ブレイクダウンが起こるまでにかかる時間を変えた。
「われわれは、この方法で放射線源近傍の放射線を遠隔計測することを考えた。放射線崩壊生成物の従来の検出器、ガイガーカウンタやシンチレータからの信号は、放射線源からの距離が遠くなると著しく低下するからである。しかし、レーザビームでは、われわれは放射線源近傍の空気中に生成される電子を遠隔プローブできる」とそのプロジェクトに取り組んでいる学生、Robert M. Schwartzは説明している。
しかし、以前の実験では、崩壊の増加が急激であるので、正確にいくつの電子が崩壊を分布しているかの判断は難しかった。「10、100、1000の電子でも、全て非常に似た信号を出す。われわれは、概算のための理論モデルを利用することはできたが、われわれが計測している電子密度を決定的に示すことはできなかった」とWoodburyはコメントしている。
新しい研究では、研究チームは、適切なレーザパルス長で、レーザ焦点内の個々の電子によって散布されたマルチブレークダウンがはっきりしている、と理解した。レーザ焦点体積の画像を撮り、個々の電子で分布された各々のスパークをカウントすることはこれら元のシード電子の密度の計測に匹敵する。
50-psパルス幅、中赤外レーザ(3.9µm)が、波長とパルス幅に関してスイートスポットであることが分かった。
感度+位置と時間情報
研究チームは、空気を電離する放射線源近傍で生成された電荷密度を計測するために検出コンセプトを使用することで、その実行可能性を実証した。チームは、電子密度を1立方センチメートル当たり1000電子濃度まで計測。これは、空気中の宇宙線や自然発生放射能からの配景電荷によって制約を受ける。その方法を使用して、放射線源の遠隔検出のために、そのレーザアバランシュプローブを正確ベンチマークした。
「他の方法は、電子が約1000万倍の高濃度に限定されている、空間的、時間的分解能は極めて小さい。われわれの方法は、電子を直接カウントし、時間スケール約10ps、10µmオーダーの精度で、その位置を正確に確定する」とMilchbergは説明している。
研究チームによると、その技術を使って、強力なフィールド物理学相互作用、化学種を含むソースからの超低電荷密度を計測することができる。「ピコ秒中赤外レーザと、関心のある分子を選択的にイオン化する第2レーザを組み合わせると、その技術は、1兆分の1(ppt)をはるかに上回る感度で、化学物質の存在を計測できる。これは気体中に微量濃度を検出する現在の限界である」とWoodburyは話している。研究チームは、その方法をフィールドユースでもっと実用的になるように研究を続ける。