October, 25, 2019, Latham--超高速レーザからの光制御に新しいタイムベースの方法を利用することで、ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)と香港大学の研究チームは、微小な構造を従来の2光子リソグラフィ(TPL)技術よりも1000倍高速、分解能を犠牲にすることなく、ナノスケール3Dプリンティング技術を開発した。
高スループットではあるが、新しい並列技術、フェムト秒プロジェクションTPL(FP-TPL)は、奥行き分解能175nm、これは確立された方法よりも優れており、現状ではできない90°オーバーハングの構造を製造できる。その技術は、バイオスカフォールド、フレキシブルエレクトロニクス、電気化学インタフェース、マイクロオプティクス、機械的、光学的メタマテリアル、およびその他の機能的マクロ/ナノ構造の量産ができる。
研究成果は、Scienceに発表された。
既存のナノスケール・アディティブマニュファクチャリング技術は、シングルスポット高強度光、一般には直径700~800nmを使い、感光性樹脂材料を液体から固体に変える。点が、製造されている構造全体をスキャンしなければならないので、既存TPL技術は、複雑な3D構造の製造に何時間もかかる。実用的なアプリケーションでは、これが規模の制約になる。
「シングルスポットの光を使う代わりに、われわれは100万ポイントを同時照射している」と論文の筆頭著者、Sourabh Saha。「これはプロセスを格段に高める。シングルスポットではなく、投影光の全面を使うことができるからである。任意の構造にパタニングできる集束面全体が得られる」。
100万ポイントを作るために、研究チームはデジタルマスクを利用する。これは画像やビデオを作るためのプロジェクタで使用されているものと同じである。この場合、マスクがフェムト秒レーザを制御して、先駆体液体ポリマ材料に、所望の光パタンを作る。高強度光が重合化反応を起こし、液体が固体に変わり、ここで所望の3D構造を作る。
製造された構造の各層は、35fs高強度バースト光で形成される。プロジェクタとマスクは、全構造が実現するまで、層ごとに利用される。次に、液体ポリマは、除去され、後に固体が残る。FP-TPL技術により研究チームは、以前のプロセスで数時間かかっていた構造を8分で作ることができる。
「開発された並列2光子システムは、ナノスケールプリンティングにおけるブレイクスルーである。これにより、このサイズ規模で、利用可能なコンポーネントで実現できる材料と構造で際立つパフォーマンスが可能になる」LLNLのChris Spadacciniはコメントしている。
表面に粒子を吹き付けるコンシューマ3Dプリンティングとは違い、新技術は、液体前駆体深く入り込むので、表面製造だけでは造れない構造を造ることができる。例えば、その技術は、Sahaが言う「不可能なブリッジ」、90°オーバーハング、長さと形状のアスペクト比1,000:1以上のものが造れる。「われわれは、光をわれわれが望むどんな深さにも材料に投影できるので、サスペンディッド3D構造を作ることができるのだ」と同氏は説明している。
研究チームは、基板間に1㎜長のサスペンティッド構造をプリントした。これは、100×100µmよりも小さい。その構造は、製造中に崩壊しない。液体と固体がほぼ同じ密度だからである。また、液体がかき乱される時間がないほど製造は非常に素早い。
「これの現実のアプリケーションは、小さなデバイスの産業規模製造となり、スマートフォンのコンポーネントなど、より大きな製品に組み込める。次のステップは、その材料パレットを拡大するために他の材料でプリントできることを実証することである」と同氏はコメントしている。
フェムト秒レーザの利用により研究チームは、2光子プロセス重合化を始動するだけの強い光強度を維持し、同時にポイントサイズを小さく保つことができる。FP-TPL技術では、フェムト秒パルスは、時間的集束を実行するために光学系を透過する際に伸ばされ、圧縮される。回折限界よりも小さな3D構造を生成できるプロセスは、光スポットを集束する。これには、2光子が同時に液体先駆体分子に当たる必要がある。
「従来、スピードと分解能にはトレードオフがある。プロセスを速くすると、分解能を失う。われわれは、このエンジニアリングトレードオフを打破したので、最も小さな構造を1000倍高速プリントすることができる」とSahaは話している。