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グラフェンベース計測技術で超高解像度顕微鏡

October, 15, 2019, Göttingen--ゲッティンゲン大学(University of Göttingen)の研究チームは、グラフェンの異常な特性を利用して電磁的に蛍光性分子と相互作用する新しい方法を開発した。この方法により、研究者は、1Åの非常に小さな距離を初めて、再現性よく光学的に高精度計測できる。研究者は、この方法で、すべての生きた細胞の膜を作る脂質二重層の厚さを測れるようになった。研究成果は、Nature Photonicsに発表された。
 Jörg Enderlein教授をリーダーとするゲッティンゲン大学の研究チームは、わずか1原子厚(0.34nm)のシングルグラフェンシートを利用して、分子がグラフェンシートに近づくとき、光放出(蛍光)分子の放射を変調した。グラフェンの優れた光学的透明性と、空間を通して分子の放出を計測する能力により、それはグラフェンシートからの単分子距離を計測する極めて高感度なツールとなった。この方法の精度は非常に優れているので、わずか1Åの距離の変化でさえ、分解可能である。研究チームは、グラフェン層の上方に単分子を堆積することでこれを示すことができた。次にチームは、その光放出をモニタし、評価することで、それらの距離を確定することができた。分子発光のこのグラフェン誘導変調は、空間における単分子位置を確定するめの極めて高感度で正確な「尺度」になる。チームは、この方法を利用して、シングル脂質二重層の厚さを計測した。脂質二重層は、二層の脂肪酸鎖分子を構成し、総厚はわずか数ナノメートルである。
 「われわれの方法は、超高解像度顕微鏡に非常に大きな可能性を持つ。ナノメートル解像度で単分子を横方向(早期の方法と同様)だけでなく、同様の正確さで3方向に位置特定するからである。これは、マクロ分子の長さスケールで、真の3D光学イメージングを可能にする」と論文の筆頭著者Arindam Ghoshは説明している。
 「これは、個々の分子、分子複合体、あるいは細胞器官においてサブナノメートル精度で距離を分解する多くのアプリケーションで強力なツールとなる」とJörg Enderlein教授はコメントしている。
(詳細は、https://uni-goettingen.de)