October, 9, 2019, Washington--ペンシルバニア大学研究チームは、新しいマイクロ波イメージャチップを開発した。これは、いずれローコストハンドヘルドマイクロ波イメージャ、カメラを可能にするものである。マイクロ波は、一定の不透明物体を透過するので、その新しいイメージャは、壁を通して、あるいは身体組織を通して腫瘍を発見する用途に役立つ。
研究成果は、Opticaに発表された。論文は、1000以上のフォトニックコンポーネントを含むマイクロ波イメージャチップ作製にどのように標準的な半導体製法を使ったかを説明している。方形チップは、各辺がわずか2㎜で、消しゴムの半分程度の幅である。
「今日の実用的なマイクロ波イメージャは、ベンチトップシステムであり、大きくて高価である。われわれの近接場イメージャは、マイクロ波信号処理に電子ではなく光を使うデバイスである。これによりわれわれは、チップベースのイメージャを多くのスマートフォンの光学カメラチップと同等にできる」とペンシルバニア大学、研究チームリーダー、Firooz Aflatouniは説明している。
ハンドヘルドマイクロ波イメージャは、高解像度脳イメージング、心臓鼓動や呼吸のモニタリングを含む多くのアプリケーションで有用である。マイクロ波イメージャの微小化は、レーダシステムの対象追跡、ローパワー、高速通信リンクなどのアプリケーションにも恩恵をもたらす。
マイクロ波画像生成に使う光処理
スマートフォンで使われるような光学カメラは、カメラの画像センサに像を形成するためにレンズを使用する。新しい近接場イメージャは、4つのアンテナを使って、対象物から反射されるマイクロ波信号を受信する。これらのマイクロ波信号は、光信号にエンコードされ、マイクロ波レンズをエミュレートして、光処理され、画像を形成する。
チップベースイメージャは、1000以上のコンポーネント、導波路、方向性結合器、フォトダイオード、リング共振器を含む。重要コンポーネントの一つは、信号処理に使う光遅延素子ネットワークで、これは280を超える遅延セルで構成されている。
「このシステムは、電子同等品と比べて非常に小型で効率も優れており、10倍以上小型、10倍以上高効率である。また、非常に短いマイクロ波パルスで動作するので、イメージング分解能は高い」とAflatouniグループ、Farshid Ashtianiは説明している。
マイクロ波イメージャのデモ
新しいチップを実証するために研究チームはそれを使って金属表面の物体を撮像した、表面には各辺が24㎝の金属角とUPennロゴが含まれる。マイクロ波短パルスがイメージャ前に設置された個々の対象を照射した後、4本のアンテナが反射信号を受信。信号は、各標的物体の画像を形成するために使われる。
「われわれの研究は、標準的半導体製造技術を使って、多くのデバイスを含むロバストなフォトニックシステムを造れることを示している。われわれが実証したその微小イメージャチップはスケールアップできるので、ローコストハンドヘルド高解像度マイクロ波イメージャが可能になる」とAflatouniは説明している。
研究チームがチップベースマイクロ波イメージャを実証したので、チームは、オンチップ遅延線の数を増やすことでピクセル数を増やす計画である。また、さらに進んだ製造技術を使い、小さな画像をスティッチングして結合する。チームは、マイクロ波をもっと短パルスにして、解像度を高めたいと考えている。