October, 7, 2019, 札幌--北海道大学北極域研究センターの齊藤誠一研究員(研究推進支援教授)らの研究グループは、北海道大学及び東北大学が中心となって研究開発された国際理学観測衛星ライズサット(RISESAT:Rapid International Scientific Experiment Satellite)に搭載した海洋観測カメラOOC(Ocean Observation Camera、北海道大学、東北大学、株式会社パスコ及び国立台湾海洋大学が共同開発)による有色溶存有機物(CDOM:Colored Dissolved Organic Matter)の観測に成功した。
ライズサットはJAXA革新的衛星技術実証1号機を構成する7衛星の一つとして、イプシロンロケット4号機により打ち上げられた。
OOCは4波長の多波長可視近赤外カメラで、可視域に3バンド(405nm、490nm、555nm)、近赤外域に1バンド(869nm)の計4バンドで観測できる。特に、405nmバンドはCDOM測定に焦点を当てて設計した。これにより、気候変動と密接に関係する地球の炭素循環において、森林火災同様にインパクトがあると予想されている永久凍土融解によるCDOMの河川から海洋への流出を評価でき、北極海へ流入する河川の河口付近での観測も計画している。また、869nmバンドは可視域バンドの大気補正のために準備し、バンド幅は10nm、空間解像度は74m、観測幅は48km。観測方向は、直下視(Nadir)を基本とし、衛星の運用上可能であれば、海面からの太陽光反射(Sunglint)を避けるために制限なしで傾けた姿勢や、海上の一点をポインティングする姿勢制御なども可能。
OOCの画像処理は、4バンドの光学的な歪みを除去した後に、869nmバンドを用いて可視域の各バンドの大気補正を行う。その後、CDOM光吸収係数やクロロフィル量などの測定結果を得て、最後に幾何補正して解析に利用する。
今後、北極海に流入するロシアのレナ川やオビ川の河口付近の観測をはじめ、北極海航路沿いの沿岸域の観測を開始し、超小型人工衛星を利用した地球周回軌道における北極域観測技術の構築へ貢献していく。
(詳細は、https://www.hokudai.ac.jp/)