October, 3, 2019, Washington--地雷の検出は、困難な、時間がかかるプロセスである。動く車輌からそれらを検出することは、プロセスをもっと迅速にすることになるが、精度が犠牲になる。
ミシシッピー大学の研究チームは、レーザコングレス(Laser Congress)で、新しいレーザベースセンサを発表する。これは、ディテクタが動いていても、効果的に埋設物を検出する。この新しいデバイスは、既存技術に対する大幅な改善である。既存技術は、動きながら操作できず、音や振動の外部ソースがある場合、精度が落ちる。
地上励起振動と組み合わせたレーザドップラ振動計(LDV)は、地雷や他の埋設物検出に有望であることが示されたが、それらは環境振動の影響を受けるので、特別な安定したプラットフォームで操作しなければならない。マルチビーム微分干渉計(LAMBDIS)というデバイスは、同等の検出能力があるが、動きの影響ははるかに少ないので、動く車輌に搭載しても使える。
「地雷の延々と続く災難が、移動車輌から広範囲を迅速かつ正確に調査するという重大課題を提起している。われわれの新しいデバイスは、一連のレーザビームを利用し、その信号を統合して迅速検出スキームを実現することでこうした課題を克服した。このスキームは、他の技術を打ちのめす動きや他のノイズを十分に補正できる堅牢さがある。LAMBDISは、高感度に振動場を計測する。同時に、対象の全体的な動作、あるいはそれ自身の動きの影響は少ないので、移動する車輌から操作ができる」と主席研究者、Dr. Vyacheslav Aranchukは説明している。
参照ビームなしで計測
埋蔵物の検出のためにLDVが使われている。これは、ラウドスピーカーなどの音源、ロータップシェイカーなどの震源とともに利用されている。音波や地震波は、地面を振動させる。ディテクタが固定で環境が十分振動フリーであれば、LDVは、物体が埋められているところで振動パタンの微妙な差を検出できる。
従来のLDVの操作は、物体から反射される光とLDV内部の参照ビームとの干渉に基づいている。その結果LDV自体の動きがLDV信号を物体の振動によって生ずる信号よりも非常に高くし、区別できなくなる。
新しい研究では、研究者は、30のレーザビームの線形配列を使い、調査エリアに向ける。
受光レンズやシアリング干渉計を含む光学素子を使い、地上のさまざまな点から反射される光をフォトディテクタアレイ(PDA)に統合すると、PDA出力で干渉信号となる。信号の周波数は、ドップラー効果により、照射された点間の振動速度に比例する。PDA信号を処理すると、表面の照射された点間の振動が明らかになる。
「LDVと違いLAMBDISは内部参照ビームを使わないが、対象物のさまざまな点から反射された光の干渉を使うことでドップラーシフトを検出する。参照ビームがないので、センサの動きによるドップラー周波数は、すべての反射ビームで実質的に同じであり、自動的に干渉信号から減算される。その結果、LAMBDISは、センサ自体の動きに対する感度が非常に低く、それに対して、対象物の点間の相対振動に対する感度が非常に高い」とAranchukは説明している。
フィールドテスト成功
研究チームは、LAMBDISデバイスは、Labとフィールドテストで幅広い条件下、パフォーマンスは良好だったと報告している。LAMBDISは、埋蔵対象物を7.5~20m離れて、3.8m/secで移動する車輌から検出することができた。これは、安定したプラットフォーム設置のLDVに匹敵する結果である。研究チームは、航空機と振動音源の両方から、さまざまなスキャニング角度でデバイスをテストした。デバイスが、さまざまな実世界条件で正確な結果を出せることを示唆している。
地雷の検出だけでなく、LDVは自動車や航空機のコンポーネントの検査にも使われている。また、橋梁や構造物の振動評価、装置のキャリブレーションや材料の研究にも使われている、さらに歯科やバイオメディカルアプリケーションでも使用されている。LAMBDISは、そのようなアプリケーションでも役立つ、環境騒音、動きがLDVデバイスの利用を妨げるような場合に優位性がある。