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分子の振動を一網打尽に観測できる光学技術を開発

October, 1, 2019, 東京--東京大学大学院理学系研究科の井手口拓郎准教授らのグループは、1つのレーザを用いて赤外吸収スペクトルとラマン散乱スペクトルを同時に計測できる分光法「相補振動分光法(Complementary vibrational spectroscopy)」の開発に成功した。相補振動分光法は、フーリエ変換分光法と呼ばれる分光手法に、超短パルスレーザによる複数の非線形光学現象を導入する工夫により実現した。
 これまで、赤外吸収スペクトルとラマン散乱スペクトルは別々に計測するものであると認識されてきたが、今回開発した相補振動分光法はこの前提を覆すものであり、今後、さまざまな分野で有効な化学分析手法として利用されることが期待される。

発表のポイント
・これまで別々の装置で独立して計測することが常識であった赤外分光とラマン分光を、1つのレーザ光源を用いた簡便なシステムで同時計測する新たな分光法として「相補振動分光法」の開発に成功した。
・光で分子の振動を計測する技術として相補的な関係にある赤外吸収とラマン散乱のスペクトルを同時計測できることにより、試料の同じ箇所におけるさまざまな分子の振動情報を同時に取得することが可能となった。
・化学や生物学などの基礎研究、化学産業や製薬産業などの研究開発において、新たな分析手法として利用されることが期待される。

研究成果は、Nature Communicationsオンライン版で公開された。
(詳細は、http://www.s.u-tokyo.ac.jp/)