September, 20, 2019, 東京--理化学研究所(理研)開拓研究本部香取量子計測研究室の山口敦史研究員、香取秀俊主任研究員(東京大学大学院工学系研究科教授)らの国際共同研究グループは、カドミウム原子を用いた「光格子時計」の「魔法波長」を実験的に決定した。
この研究成果は、室温で18桁の精度を持つ小型・可搬型光格子時計の実現につながる重要な成果である。
今回、国際共同研究グループは、カドミウム原子を光格子に捕獲し、光格子レーザによる光シフトを精密に測定した。その結果、光シフトがゼロになる光格子レーザの波長(魔法波長)を、419.88±0.14ナノメートル(nm)と決定した。さらに、この結果をもとに、カドミウム光格子時計の黒体放射シフトを理論的に見積もり、既に実現されているストロンチウム原子やイッテルビウム原子の光格子時計と比べて、室温で1桁程度小さいことが分かった。これにより、カドミウム光格子時計が、室温で18桁の精度を持つ小型・可搬型光格子時計を実現する有力な候補であることが明らかになった。
研究成果は、『Physical Review Letters』の掲載に先立ち、オンライン版に掲載された。
(詳細は、http://www.riken.jp)