September, 11, 2019, Salt Lake--ハツカネズミは餌を漁る間走り回るが、遺伝学がこの蛇行行動をコントロールする見えない手かも知れない。ユタ大学の研究チームは、マシンラーニングを使って、本能の段階的なステップを方向付ける遺伝的制御と学習行動との間のリンクを引き出そうとしている。研究成果は、Cell Reportsに発表された。
「餌を探すような複雑な行動パタンは、ランダム、自発的で自由に感じる連鎖で構成されている」とニューロバイオロジー准教授、Christopher Greggは説明している。「マシンラーニングを使い、われわれは、偶然よりも頻繁に再生される離散的な連鎖を見つけようとしており、これらの連鎖は生物学に根ざしている」。
研究チームは、行動連鎖の新たな領域に踏み込もうとしている。
「われわれは複雑な行動のアーキテクチャ、遺伝学がこれらのパタンをどのように形作るかを理解しようとしている」(Gregg)。
複雑な行動は、論文の著者が言う行動モジュールという有限の「ビルディングブロック」の集合で構成されており、遺伝学はこれらのビルディングブロックが異なる行動パタンを形作るという考えを研究は支持している。
研究チームは、遺伝的特徴と年齢が違う190匹のハツカネズミが、その住処から、餌をあさる間に一連の行動連鎖表現を評価するために独自に作られた「アリーナ」に移動する時に、それらのネズミを評価した。餌の探査で、ハツカネズミは,多くの神経システムを必要とする行動を示す。探査行動、不安、報酬、予防、空腹、満足、注意、ナビゲーションや記憶を制御するために多くの神経系を必要とする。その新しい方法は、多様な遺伝的特徴や年齢効果が、多様な連鎖に影響を与えることを明らかにした。
「ほとんどの種は、行動圏を持っており、その行動は、行動圏の周りに構造化されている。われわれは、再現可能な行動連鎖を特定し、この情報を使って徐々に複雑なパタンを理解することができた」とGreggは話している。
チームは、巣から食糧源まで行き、戻るまでの回遊行動を5600を超えるマウスの一連の行動に分けた。階層化されたこれらの行動は、歩行パタン、スピード、移動距離と行った場所など、追加情報となる。マシンラーニングを使い、この情報を評価し、71の再現可能な行動連鎖を特定した。これらは、より複雑な行動パタンの基本となる構成要素である。
一つの「ビルディングブロック」から次への移行は、特殊な菜食行動を生み出す機構的関係を示唆している。これは、捕食リスク、エネルギー消費、カロリー摂取量を最小化する。加えて、そのアルゴリズムは,特定マウスに固有の自発的反応を特定することができた。
Greggによると、このアプローチは、1つの遺伝子のコピーの変異種を取り上げるだけの感度がある。この点を証明するためにチームは、インプリントされた遺伝子、自閉症にリンクしたMagel2の変種を持つマウスの菜食行動に注目した。例えば、母親のコピーのスイッチを切ると、父親のコピーのスイッチが入る。このシナリオでは、母のコピーがサイレントになると、それは子孫に影響しないと一般に考えられていた。実際は、そうではなかった。
「驚いたことに、母親の遺伝子コピーだけで単一の変種から行動への有意な効果を検出することができた」とGreggはコメントしている。
このとき、研究はラボのマウスにおける菜食活動のビルディングブロックを調べただけだった。Greggによると、その方法論は他の複雑な行動パタンの基本を理解するためにも適用可能であり、特定ゲノム要素を知るためにも適用できる。例えば、肥満、中毒、恐れ、不安、精神疾患を含むヒトの病気につながる行動を形作るゲノム要素である。
「複雑な、一見自発的に見える行動を実際に分解することで、われわれは、他の研究では観察できなかったことを発見できた。ヒトの病気の原因となる突然変異があるなら、この方法を使って、それを特定のモジュール(つまり行動ビルディングブロック)にマッピングし、遺伝子が特定の行動パタンの形成にどのように寄与するかを調べたい」と同氏は話している。
(詳細は、https://unews.utah.edu/)