August, 16, 2019, San Diego--UCSDのエンジニアは、3原子層の世界最薄光デバイスを開発した。
この研究成果は、今日のデバイスよりも数桁小さなサイズの光デバイスに縮小するための概念実証である。これは、より高密度、高機能のフォトニックチップの開発につながる。研究成果は、Nature Noanotechnologyに発表された。
UCSDナノエンジニアリング、電気工学教授、Ertugrul Cubukcuは、「基本的に、われわれは光導波路をどこまで薄く造れるかの究極的限界を示した」と話している。
新しい導波路は、約6Åの薄さ。一般的な光ファイバの1/10000以下、集積フォトニック回路のオンチップ光導波路よりも、500倍程度薄い。
新しい導波路は、シリコンフレームに懸架された二硫化タングステン単層(2層の硫黄原子に挟まれた単層タングステン原子でできている)で構成されている。その単層は、フォトニック結晶を形成するナノサイズの穴アレイでもパタニングされている。
この単層結晶の特別なところは、それが室温で、エキシトンとして知られる電子-正孔ペアをサポートしていることである。これらエキシトンは、強力な光反応を生成し、その結晶は、その表面周囲の空気の4倍程度の屈折率となる。比較すると、同じ厚さの別の物質の屈折率は、それほど高くない。光がその結晶に送り込まれると、光は内部にトラップされ、全反射により平面を導波される。これが、光導波路の機能する方法の基本的メカニズムである。
もう1つの特徴は、その導波路が可視光スペクトルの光を導波することである。Cubukcuによると、これはこのような薄い材料では実現が難しい。「導波は、以前にグラフェンで実証され、それも原子厚であるが、赤外波長である。われわれは初めて、可視域で導波を実証した」。
結晶にエッチングしたナノサイズの穴により光は平面に対して垂直に散乱するので、観察、プローブが可能である。この穴のアレイは周期構造になっており、結晶は共振器にもなる。
論文の筆頭著者、Xingwang Zhangは、「これは、今まで実証されたなかで最薄型の可視光光共振器である。このシステムは、光と物質の相互作用を共鳴的に強めるだけでなく、二次グレーティングカプラとして機能し、光を光導波路に結合する」と説明している。
研究チームは、先進的なマイクロ製造、ナノ製造技術を使って、その導波路を作製した。構造の作製は、非常に難しかった、と論文の共著者Chawina De-Eknamkulは話している。「材料は原子厚であるので、それをシリコンフレームに懸架するプロセスを考案し、それを壊すことなく精密にパタニングしなければならなかった」と同氏は説明している。
プロセスは、シリコンフレームにサポートされた薄い窒化シリコン膜からスタートする。これは、導波路の基板になる。ナノサイズホールアレイは、その膜にパタニングされ、テンプレートになる。次に、単層二硫化タングステン結晶を膜に移行させる。次に膜にイオンを送り込んで、結晶に穴の同じパタンをエッチングする。最後のステップで、窒化シリコン膜は、エッチングで徐々に除去され、シリコンフレームに懸架された結晶が残る。結果は、光導波路であるが、その中でコアが、低い屈折率の材料(空気)で囲まれた単層二硫化タングステン結晶で構成されたている。
今後、研究チームは、その導波路に関係する基本特性と物理学を継続して探求する。
(詳細は、https://ucsdnews.ucsd.edu)