August, 5, 2019, 仙台--東北大学多元物質科学研究所 小島一信准教授、秩父重英教授は、浜松ホトニクス株式会社 池村賢一郎、千葉大学大学院融合理工学府 松森航平、同大学大学院理学研究院 山田泰裕准教授、京都大学化学研究所の金光義彦教授と協力し、ハライド系有機-無機ハイブリッド型ペロブスカイト半導体(CH3NH3PbBr3)の発光量子効率計測に成功した。
照明や通信、太陽光発電などの光応用分野においては、電気・光エネルギーを相互に変換する発光ダイオード(LED)やレーザダイオード、太陽電池の高効率化が不可欠。現在、これらのデバイスは用途に応じて様々な半導体材料を用いて製造されている。半導体材料の一つであるハロゲン化金属ペロブスカイトは結晶欠陥が生じにくい性質を持っており、高効率な太陽電池材料として知られている。一方、欠陥が少ないという性質は光を電気に変える太陽電池の逆、つまり電気を光に変える発光素子としても魅力的で、ペロブスカイト半導体を用いたLEDの開発も進んでいる。光と電気を相互に変換する際、材料の性能を表す物理量の一つに内部量子効率(IQE)があるが、一般的に直接計測が難しい。
研究チームは、励起された結晶の発光のうち、不透明領域の波長の光(緑色)が結晶の上方にのみ放射される性質を利用して、ペロブスカイト半導体のIQEを実験的に計測することに成功した。その結果、IQEは少なくとも62.5%に達することを見出し、さらに、メチルアンモニウム(CH3NH3)イオンの過不足によってIQEが大きく変動することを見出した。
研究の成果は、ペロブスカイト半導体を用いた太陽電池やLEDの開発および機能向上に役立つほか、半導体発光冷却素子のようなユニークな応用にもつながると期待される。
研究成果は、「APL materials」誌の「Editor’s Pick」に選ばれ、オンライン公開された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)